令和7年度 午前の部 問10
民法
所有者不明土地管理命令の問題
所有者不明土地管理命令及び管理不全土地管理命令に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕以下の試験問題については、国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用は考慮しないものとして、解答してください。また、第4問から第23問までの試験問題については、商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。
ア 土地が数人の共有に属する場合には、所有者不明土地管理命令と管理不全土地管理命令のいずれについても、当該土地の共有持分を対象として発することができる。
イ 所有者不明土地管理命令と管理不全土地管理命令のいずれについても、その効力は、管理命令の対象とされた土地の上にある当該土地の所有者が所有する動産にも及ぶ。
ウ 管理命令の対象とされた土地に関する訴えについては、所有者不明土地管理命令と管理不全土地管理命令のいずれかが発せられた場合でも、その命令において選任された管理人を原告又は被告としなければならない。
エ 裁判所が管理命令の対象とされた土地の処分について許可をするには、所有者不明土地管理命令と管理不全土地管理命令のいずれかが発せられた場合でも、当該土地の所有者の同意を要しない。
オ 所有者不明土地管理人と管理不全土地管理人のいずれについても、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。
- 1アウ
- 2アエ
- 3イエ
- 4イオ
- 5ウオ
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✓ これが正解4イオ
解説
イとオが正しい。持分・訴訟・処分の同意で二つの命令は異なる
令和3年の民法改正で設けられた所有者不明土地管理命令と管理不全土地管理命令について、両者の違いを条文で判断する問題です。
アについて、所有者不明土地管理命令は、共有者を知ることができない土地の共有持分を対象としても発することができます。これに対し、民法第264条の9第1項の管理不全土地管理命令は、当該土地を対象として発するもので、共有持分を対象とする定めはありません。いずれについても持分を対象にできるとするアは誤りです。イについて、所有者不明土地管理命令の効力は対象の土地にある動産に及び、第264条の9第2項も、管理不全土地管理命令の効力は対象の土地にある所有者等の動産に及ぶとしています。イは正しい記述です。
ウについて、第264条の4は、所有者不明土地管理命令が発せられた場合には、所有者不明土地等に関する訴えは所有者不明土地管理人を原告または被告とすると定めています。管理不全土地管理命令にはこの定めがなく、所有者自身が当事者になります。ウは誤りです。エについて、第264条の10第3項は、管理不全土地管理命令の対象の土地の処分について裁判所が許可をするには、その所有者の同意がなければならないとしています。所有者の所在などが分からない所有者不明土地管理命令とは扱いが違うので、エは誤りです。オについて、第264条の6第2項と第264条の12第2項は、どちらの管理人も正当な事由があるときは裁判所の許可を得て辞任できるとしています。オは正しい記述です。したがって、イとオの組合せが正解です。
所有者が分からない場合は管理人に権限を集め、所有者が分かっている管理不全の場合は所有者の意思と地位を残す、という違いから各記述の結論を導けます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アウ:アは管理不全土地管理命令も共有持分を対象にできるとする点、ウは管理不全土地管理人も訴訟の当事者になるとする点で誤りです。どちらも所有者不明土地管理命令にだけある仕組みです。
- 2アエ:アは共有持分を対象とする管理命令を両方に認める点、エは管理不全の土地の処分に所有者の同意がいらないとする点で、いずれも条文と食い違います。正しい記述を含みません。
- 3イエ:イは両命令の効力が土地上の所有者の動産に及ぶという正しい記述ですが、エは誤りです。管理不全の土地の処分を裁判所が許可するには所有者の同意が必要とされています。
- 5ウオ:オは両管理人とも正当な事由があれば裁判所の許可を得て辞任できるという正しい記述ですが、ウは管理不全土地管理人を訴訟の当事者とする定めがない点を見落とした誤りです。
出典:令和7年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問10(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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