令和4年度 午前の部 問20
民法
親族に関する問題
身分行為に係る同意若しくは承諾又は許可に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕以下の試験問題については、国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用は考慮しないものとして、解答してください。また、第4問から第23問までの試験問題については、商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。
ア 父が胎内に在る子を認知するには、母の承諾を得なければならない。
イ 未成年被後見人が子を認知するには、未成年後見人の同意を得なければならない。
ウ 死亡した子Aに未成年の直系卑属Bがある場合において、Aを認知するには、Bの承諾を得る必要はない。
エ 配偶者の未成年の孫を養子とするには、家庭裁判所の許可を得る必要はない。
オ 15歳未満の子を養子とするには、その父母であって親権を停止されているものの同意を得る必要はない。
- 1アイ
- 2アエ
- 3イオ
- 4ウエ
- 5ウオ
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✓ これが正解3イオ
解説
イとオが誤りで、未成年者の認知と親権停止中の父母の同意が違います。
認知や養子縁組といった身分行為をするときに、誰の同意・承諾や家庭裁判所の許可が必要かを、民法の条文で判断する問題です。
アは正しい記述です。民法第783条は、父は胎内に在る子でも認知できるとし、その場合は母の承諾を得なければならないとしています。ウも正しく、同条は、死亡した子でもその直系卑属があるときに限り認知でき、その直系卑属が成年者であるときはその承諾を得なければならないとしています。直系卑属Bは未成年者なので、承諾は要りません。エも正しく、民法第798条は、未成年者を養子とするには家庭裁判所の許可が必要としつつ、ただし書で自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合を除いています。配偶者の孫は配偶者の直系卑属にあたります。
イは誤りです。民法は、認知をするには、父又は母が未成年者や成年被後見人であっても、その法定代理人の同意を要しないと定めています。認知は親子関係という事実を認める行為で、本人の意思を尊重すべきだからです。オも誤りで、民法第797条第2項は、15歳未満の者の縁組を法定代理人が代わって承諾するとき、養子となる者の父母でその監護をすべき者が他にあるときに加え、父母で親権を停止されているものがあるときも、その同意を得なければならないとしています。親権停止は期間を区切った措置で、親としての地位がなくなるわけではないためです。
したがって、誤っているものはイとオです。承諾が要るのは、利害を受ける人(胎児の母・成年の直系卑属)と、親の地位を失っていない父母、という視点で整理すると覚えやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アイ:イの誤りは捉えていますが、アを誤りとした点が違います。まだ生まれていない子を父が認知するときは、母の承諾を得ることが条文で求められているので、アは正しい記述です。
- 2アエ:アとエはどちらも正しい記述です。胎児の認知には母の承諾が要り、配偶者の孫のような配偶者の直系卑属を養子にするなら家庭裁判所の許可は要りません。
- 4ウエ:この二つは誤りではありません。亡くなった子に未成年の子どもがいるだけなら、その子どもの了解なしに認知でき、夫や妻の孫を養子に迎えるときも裁判所の許しは求められていません。
- 5ウオ:オの誤りは捉えていますが、ウを誤りとした点が違います。死亡した子の直系卑属の承諾が必要なのはその者が成年者の場合だけで、未成年のBの承諾は要らないので、ウは正しい記述です。
出典:令和4年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問20(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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