令和5年度 午前の部 問23
民法
遺言に関する問題
遺言に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕以下の試験問題については、国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用は考慮しないものとして、解答してください。また、第4問から第23問までの試験問題については、商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。
ア 被相続人が、生前、その所有する不動産を推定相続人の一人に贈与したが、その旨の登記が未了の間に、他の推定相続人に当該不動産の特定遺贈をし、その後相続の開始があった場合、当該贈与と遺贈による物権変動の優劣は、登記の具備の有無によって決まる。
イ 遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることもできる。
ウ 受遺者は、遺言者の死亡前であっても、遺贈の放棄をすることができる。
エ 秘密証書による遺言について、その方式に欠けるものがある場合には、当該遺言は、自筆証書による遺言の方式を具備しているときであっても、自筆証書による遺言として有効とはならない。
オ 疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が特別の方式によってした遺言は、法定の期間内に、証人の一人又は利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力を生じない。
- 1アエ
- 2アオ
- 3イウ
- 4イエ
- 5ウオ
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✓ これが正解2アオ
解説
アは登記の先後で決まり、オは危急時遺言の確認で正しい。他は誤り
遺言について、民法の方式・効力の規定と判例で判断します。正しいものを2つ選びます。
アは正しい記述です。判例は、被相続人が生前に不動産を推定相続人の一人に贈与し、その登記が未了のうちに他の推定相続人に同じ不動産を特定遺贈した場合、贈与と遺贈による物権変動の優劣は、二重譲渡の場合と同じく登記の具備の有無で決まるとしています。遺贈も意思表示による物権変動なので、民法第177条の対抗関係になるという考え方です。
イは誤りです。第975条は、遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができないと定めています(共同遺言の禁止)。遺言は各人の自由な意思で、いつでも撤回できるものでなければならないためです。
ウも誤りです。第986条第1項は、受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができると定めています。遺言は遺言者の死亡まで効力を生じないので、死亡前に放棄することはできません。
エも誤りです。第971条は、秘密証書による遺言は、秘密証書の方式に欠けるものがあっても、自筆証書遺言の方式(第968条)を具備しているときは、自筆証書による遺言としてその効力を有すると定めています。無効になるのではなく、自筆証書遺言として生かされます。
オは正しい記述です。第976条第4項は、死亡の危急に迫った者が特別の方式でした遺言は、遺言の日から20日以内に、証人の一人又は利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力を生じないと定めています。
したがって、アとオを選ぶ組合せが正解です。遺言の効力は死亡時から生じる、という一点を軸にすると、放棄の時期や撤回の自由に関する記述を見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アエ:アとエを選ぶ組合せです。アは生前贈与と特定遺贈の優劣を登記で決める判例どおりで正しいのですが、エは方式を欠く秘密証書遺言は自筆証書遺言としても無効だとしていて、第971条と逆です。
- 3イウ:イとウを選ぶ組合せですが、二人以上が同一の証書で遺言することは第975条で禁止されているのでイは誤り、遺贈の放棄は遺言者の死亡後に限られるのでウも誤りです。
- 4イエ:イとエを選ぶ組合せです。共同遺言を認めるイも、自筆証書の方式を満たした秘密証書遺言を無効とするエも条文と食い違い、正しい記述が1つも含まれていません。
- 5ウオ:ウとオを選ぶ組合せです。オは危急時遺言に家庭裁判所の確認が必要という第976条第4項どおりで正しいものの、ウは遺言者の生前に遺贈を放棄できるとしていて第986条第1項に反します。
出典:令和5年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問23(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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