令和5年度 午前の部 問21
民法
未成年後見に関する問題
未成年後見に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕以下の試験問題については、国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用は考慮しないものとして、解答してください。また、第4問から第23問までの試験問題については、商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。
ア 未成年者に対して最後に親権を行う者であっても、管理権を有しない場合には、遺言で未成年後見人を指定することはできない。
イ 未成年後見人が欠けたときは、家庭裁判所は、職権で未成年後見人を選任することができる。
ウ 未成年後見人が数人選任されている場合であっても、各未成年後見人は、未成年被後見人の身上の監護に関する権限を単独で行使することができる。
エ 家庭裁判所は、法人を未成年後見人に選任することができる。
オ 親権を喪失した父又は母は、未成年後見人の選任を家庭裁判所に請求することができない。
- 1アウ
- 2アエ
- 3イエ
- 4イオ
- 5ウオ
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✓ これが正解2アエ
解説
アは遺言指定の制限、エは法人の選任で正しく、イ・ウ・オは誤り
未成年後見(親権を行う者がいない未成年者のための後見)について、民法第838条以下の規定で判断します。正しいものを2つ選びます。
アは正しい記述です。民法第839条第1項は、未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で未成年後見人を指定することができるとしつつ、ただし書で、管理権を有しない者はこの限りでないと定めています。
イは誤りです。第840条第1項は、未成年後見人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、未成年被後見人又はその親族その他の利害関係人の請求によって未成年後見人を選任するとし、未成年後見人が欠けたときも同様としています。欠けたときの選任は請求によるもので、職権による選任ではありません(職権でもできるのは、既に未成年後見人がいる場合に更に選任するときです)。
ウも誤りです。第857条の2第1項は、未成年後見人が数人あるときは、共同してその権限を行使すると定めています。家庭裁判所が単独行使などを定められるのは財産に関する権限についてであり、身上の監護に関する権限を各自が単独で行使できるわけではありません。
エは正しい記述です。第840条第3項は、未成年後見人となる者が法人であるときに考慮すべき事情を定めており、法人を未成年後見人に選任できることを前提にしています。オは誤りです。第841条は、父又は母について親権喪失の審判があったことなどによって未成年後見人を選任する必要が生じたときは、その父又は母は遅滞なく未成年後見人の選任を家庭裁判所に請求しなければならないと定めています。請求できないどころか、請求する義務があります。
したがって、アとエを選ぶ組合せが正解です。成年後見と比べながら、未成年後見人の複数選任は原則共同行使、という違いを押さえておくと便利です。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アウ:アとウを選ぶ組合せです。アは管理権のない者は遺言で指定できないとする第839条第1項ただし書どおりで正しいのですが、ウは数人の未成年後見人が身上監護を単独で行えるとしていて、共同行使の原則と違います。
- 3イエ:イとエを選ぶ組合せです。エは法人も未成年後見人に選任できるので正しいものの、イは未成年後見人が欠けたときに家庭裁判所が職権で選任できるとしていて、請求によるとする第840条第1項と合いません。
- 4イオ:イとオを選ぶ組合せですが、欠けたときの選任を職権とするイも、親権を喪失した父母は選任を請求できないとするオも誤りで、オについては第841条がむしろ請求を義務づけています。
- 5ウオ:ウとオを選ぶ組合せです。身上監護の単独行使を認めるウも、親権を喪失した父母の請求を否定するオも条文の内容と逆で、正しい記述が入っていません。
出典:令和5年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問21(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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