令和6年度 午前の部 問4
民法
民法に関する問題
未成年者に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕以下の試験問題については、国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用は考慮しないものとして、解答してください。また、第4問から第23問までの試験問題については、商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。
ア 法定代理人が目的を定めないで処分を許した財産は、未成年者が自由に処分することができる。
イ 未成年者に対して意思表示をした者は、未成年者の法定代理人がその意思表示を知った後は、その意思表示をもって未成年者に対抗することができる。
ウ 未成年者は、その法定代理人の同意を得ないで、負担付贈与の申込みを承諾することができる。
エ 未成年者が認知をするには、その法定代理人の同意を要しない。
オ 父母の離婚により15歳以上の未成年者が親権者である父又は母と氏を異にする場合には、その未成年者は、家庭裁判所の許可を得ることなく、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その親権者である父又は母の氏を称することができる。
- 1アイ
- 2アエ
- 3イオ
- 4ウエ
- 5ウオ
答えと解説を見る
✓ これが正解5ウオ
解説
ウとオが誤り。負担付贈与の承諾には同意が要り、氏の変更は許可制
未成年者の行為能力と身分行為について、民法の条文の正確な知識で判断する問題です。誤っているものを選びます。
アは正しい記述です。民法第5条第3項は、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産はその目的の範囲内で、目的を定めないで処分を許した財産も同様に、未成年者が自由に処分できるとしています。イも正しい記述です。民法第98条の2は、相手方が意思表示を受けた時に未成年者であったときはその意思表示を対抗できないとしつつ、相手方の法定代理人がその意思表示を知った後はこの限りでないとしています。エも正しい記述です。民法第780条は、父又は母が未成年者であっても、認知にはその法定代理人の同意を要しないと定めています。
ウは誤りです。負担付贈与の承諾は、受贈者が負担という義務を負うので、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為(民法第5条第1項ただし書)に当たらず、法定代理人の同意が必要です。オも誤りです。民法第791条第1項により、子が父又は母と氏を異にする場合に父又は母の氏を称するには、家庭裁判所の許可が必要です。許可なしで届出だけで済むのは、父又は母が氏を改めたことにより子が父母と氏を異にする場合で、かつ父母の婚姻中に限られます(同条第2項)。父母の離婚による場合はこれに当たりません。
したがって誤っているのはウとオです。義務を負う行為なら同意が要る、家庭裁判所の許可が要らないのは父母の婚姻中に限る、と覚えておくと見分けられます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アイ:アとイはどちらも条文どおりで誤りを含みません。目的を定めない処分許可の財産は自由に処分でき、法定代理人が意思表示を知った後は未成年者に対抗できます。
- 2アエ:アとエはどちらも正しい記述です。エの認知は、父又は母が未成年者でも法定代理人の同意が不要とされており、アの処分を許された財産の扱いと同じく条文に沿っています。
- 3イオ:オは父母の離婚の場合にも家庭裁判所の許可を不要とする点で誤りですが、イは法定代理人が意思表示を知った後なら未成年者に対抗できるという民法第98条の2のただし書どおりで、正しい記述です。
- 4ウエ:ウは負担付贈与の承諾を同意なしでできるとする点で誤りですが、エの認知に法定代理人の同意が不要であることは民法第780条のとおりなので、この組合せは合いません。
出典:令和6年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問4(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)