令和4年度 午前の部 問12
民法
法定地上権に関する問題
法定地上権に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕以下の試験問題については、国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用は考慮しないものとして、解答してください。また、第4問から第23問までの試験問題については、商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。
ア 法定地上権の成立要件が充足されていても法定地上権の成立は認めないという趣旨の特約を抵当権設定の当事者間において締結したとしても、法定地上権は成立する。
イ 法定地上権が成立する土地の範囲は、法定地上権の対象となる建物が接地する部分に限られる。
ウ 法定地上権の存続期間は、当事者間の協議によって定めることはできない。
エ 地上建物に仮差押えがされ、その後、当該仮差押えが本執行に移行してされた強制競売手続における売却により買受人がその所有権を取得した場合において、土地及び地上建物が当該仮差押えの時点で同一の所有者に属していたものの、その後に土地が第三者に譲渡された結果、当該強制競売手続における差押えの時点では土地及び地上建物が同一の所有者に属していなかったときは、法定地上権は成立しない。
オ 土地を目的とする第一順位の甲抵当権と第二順位の乙抵当権が設定され、甲抵当権設定時には土地及び地上建物が同一の所有者に属していなかったが、乙抵当権設定時にはこれらが同一の所有者に属していた。この場合において、甲抵当権が消滅し、その後、乙抵当権の実行により土地と地上建物の所有者を異にするに至ったときは、法定地上権が成立する。
- 1アウ
- 2アオ
- 3イウ
- 4イエ
- 5エオ
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✓ これが正解2アオ
解説
アとオが正しく、イ・ウ・エは法定地上権の判例と違います。
法定地上権(土地と建物が同じ所有者の時に抵当権が設定され、実行で所有者が分かれたとき、建物のために法律上当然に生じる地上権)の成立と内容を、民法第388条と判例で判断する問題です。
アは正しい記述です。法定地上権は、建物を取り壊さずに存続させるという公益的な目的から認められるもので、判例は、抵当権設定の当事者間で成立させない旨の特約をしても、その特約は効力をもたず法定地上権は成立するとしています。オも正しく、判例は、土地の一番抵当権設定時には土地と建物の所有者が別でも、二番抵当権設定時に同一の所有者に属していた場合に、一番抵当権が設定契約の解除などで消滅した後に二番抵当権が実行されたときは、二番抵当権の設定時を基準に判断して法定地上権が成立するとしています。
イは誤りです。法定地上権が及ぶ土地の範囲は、建物の敷地部分に限られず、建物を利用するのに必要な範囲に及ぶとされています。ウも誤りで、法定地上権の存続期間は、まず当事者の協議で定めることができ、協議が調わないときに法律の定める期間によります。民法第388条後段も、地代について当事者の請求により裁判所が定めるとしており、内容を当事者が決める余地を前提にしています。エも誤りです。判例は、地上建物に仮差押えがされ、それが本執行に移行して強制競売がされた場合には、仮差押えの時点を基準に土地と建物が同一の所有者に属していたかを判断するとしています。仮差押えの時点で同一所有者であった以上、その後に土地が譲渡されていても法定地上権は成立します。
したがって、正しいものはアとオです。法定地上権は建物を守る制度なので、当事者の特約では排除できない、という出発点から考えると判断がぶれません。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アウ:アは正しいものの、ウが入っています。法定地上権の存続期間は当事者が話し合いで決められ、まとまらないときに法律の期間で決まるので、協議では定められないとするウは誤りです。
- 3イウ:イは土地の範囲を建物の接地部分に限っている点で、ウは協議による存続期間の決定を否定している点で誤りです。この組合せは正しいものを含みません。
- 4イエ:イもエも誤りです。範囲は建物の利用に必要な部分まで及びますし、仮差押えから本執行へ移った強制競売では仮差押えの時点を基準に判断するので、エの場合も成立します。
- 5エオ:オを選ぶ点はよいものの、エを含んでいます。建物への仮差押えの段階で土地と建物の持ち主が一致していれば足り、強制競売の差押えまでに土地が売られていても建物のための地上権は生じます。
出典:令和4年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問12(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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