第112回 午後 問43
公衆衛生看護活動展開論
胸部エックス線検査に関する問題
次の文を読み41~43の問いに答えよ。
Aさん(45歳、男性)は高校の国語教諭。9か月前の定期健康診断では特に異常はなかった。1か月ほど前から咳嗽が出現し、市販の咳止め薬で様子をみていた。昨日から咳嗽が増強し、発熱もみられたため近医を受診したところ、胸部エックス線検査で異常陰影が認められ、呼吸器外来のある病院を紹介された。喀痰塗抹抗酸菌検査陽性で結核菌PCR検査陽性が判明したため、感染性の肺結核と診断され、直ちに入院となった。診断した医師から保健所へ発生届が提出された。
Aさんの濃厚接触者に対する接触者健康診断を計画した。
Aさんの職場の高校では、教職員の結核発症を契機に平常時から適切な結核対策をとるため、保健所の指導を受けることとした。保健所の保健師から高校への指導内容として適切なのはどれか。
- 1「BCG未接種の生徒および教職員には接種を勧奨してください」
- 2「結核患者が発生したクラスでは1週間の学級閉鎖を実施してください」
- 3「咳が長引く教職員や生徒にはN95マスクをつけるよう指導してください」
- 4「毎年度の職員健康診断ではインターフェロンγ遊離試験〈IGRA〉を全員に実施してください」
- 5「職員健康診断の胸部エックス線検査で要精密となった教職員には速やかに専門医療機関での検査を促してください」
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✓ これが正解5「職員健康診断の胸部エックス線検査で要精密となった教職員には速やかに専門医療機関での検査を促してください」
解説
要精密の教職員を速やかに受診させる指導が適切です。
学校の結核対策の基本は、結核を発病した人をできるだけ早く見つけて治療につなぎ、周囲への感染の広がりを防ぐことです。教職員は定期の健康診断で胸部エックス線検査を受けており、その結果を確実に精密検査と治療に結びつけることが、平常時の対策として重要になります。
教職員の結核発症をきっかけに、保健所の保健師が高校に指導する内容として、職員健康診断の胸部エックス線検査で要精密となった教職員には速やかに専門医療機関での検査を促すことが適切です。要精密とされても受診しないままにしておくと、発病に気付くのが遅れ、その間に生徒や同僚に感染を広げるおそれがあるためです。
一方、BCG接種は乳児期に行うもので、高校生や教職員に接種を勧める対策ではありません。結核は学級閉鎖で感染の広がりを防ぐ病気ではなく、患者が出たときは接触者健康診断で対応します。N95マスクは医療従事者などが結核菌を吸い込まないために着けるもので、咳の続く人には周囲に菌を広げないためのサージカルマスクを勧めます。インターフェロンγ遊離試験は接触者健康診断などで感染の有無を調べるために使う検査で、毎年度の健康診断で全員に行うものではありません。学校の結核対策は、早期発見と確実な受診、と覚えておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1「BCG未接種の生徒および教職員には接種を勧奨してください」:BCGは乳児期に接種するワクチンで、成人や高校生に改めて接種を勧めることは結核対策として行われていません。BCG未接種かどうかで教職員や生徒に接種を勧奨する内容は誤りです。
- 2「結核患者が発生したクラスでは1週間の学級閉鎖を実施してください」:結核は、学級を一定期間閉鎖して感染の広がりを止めるという対応をとる病気ではありません。患者が出た場合は、保健所が接触者を特定して健康診断を行います。
- 3「咳が長引く教職員や生徒にはN95マスクをつけるよう指導してください」:高い性能の防護マスクは、患者に接する側が菌を吸い込むのを防ぐための装備です。咳が長引いている本人に勧めるのは、周りへ菌を出しにくくするための一般的な医療用のマスクのほうです。
- 4「毎年度の職員健康診断ではインターフェロンγ遊離試験〈IGRA〉を全員に実施してください」:この血液検査は、結核の患者と接した人が感染したかどうかを調べる場面で使われます。発病者が出ていない平常時に、毎年度すべての教職員へ行う検査としては位置づけられていません。
出典:第112回 保健師国家試験 午後(厚生労働省)問43(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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