第112回 午後 問42
公衆衛生看護活動展開論
接触者健康診断に関する問題
次の文を読み41~43の問いに答えよ。
Aさん(45歳、男性)は高校の国語教諭。9か月前の定期健康診断では特に異常はなかった。1か月ほど前から咳嗽が出現し、市販の咳止め薬で様子をみていた。昨日から咳嗽が増強し、発熱もみられたため近医を受診したところ、胸部エックス線検査で異常陰影が認められ、呼吸器外来のある病院を紹介された。喀痰塗抹抗酸菌検査陽性で結核菌PCR検査陽性が判明したため、感染性の肺結核と診断され、直ちに入院となった。診断した医師から保健所へ発生届が提出された。
Aさんの濃厚接触者に対する接触者健康診断を計画した。他者への感染の可能性がある期間の始期はどれか。
- 1前回の定期健康診断実施日の翌日
- 2前回の定期健康診断実施日の3か月後
- 3結核診断日の3か月前
- 4発熱出現の2週前
- 5発熱が出現した日
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✓ これが正解3結核診断日の3か月前
解説
喀痰塗抹陽性なので結核診断日の3か月前を始期とします。
結核の接触者健康診断では、初発患者が周囲に結核菌を広げていた可能性のある期間、つまり感染性期間を決め、その期間に接触した人を健診の対象とします。感染症法に基づく結核の接触者健康診断の手引き(改訂第6版)は、喀痰塗抹検査が陽性の初発患者について、原則として結核診断日の3か月前を感染性期間の始期とし、症状が出てから診断までの期間が3か月以上と長い場合は症状が出た時点を始期とする考え方を示しています。
Aさんは喀痰塗抹抗酸菌検査が陽性で、咳嗽が出現したのは1か月ほど前です。症状が出てから診断までの期間は3か月に満たないため、原則どおり結核診断日の3か月前を始期として、その後に接触した人を濃厚接触者として健診の対象とします。9か月前の定期健康診断で異常がなかったことは、その時点で目立った病変がなかったことを示すにすぎず、感染性期間の始期を決める基準ではありません。発熱は昨日からの症状で、咳嗽はそれより前から出ているため、発熱を起点にすると感染性期間を短く見積もってしまいます。
したがって、感染性期間の始期は結核診断日の3か月前です。喀痰塗抹陽性なら診断日から3か月さかのぼる、症状が3か月以上続いていれば症状の出現時点まで、と覚えておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1前回の定期健康診断実施日の翌日:前回の定期健康診断の翌日を起点にすると、9か月近くを感染性期間とみなすことになり、対象者が必要以上に広がります。健診で異常がなかったことは、手引きが示す始期の決め方の基準ではありません。
- 2前回の定期健康診断実施日の3か月後:前回の定期健康診断から3か月後という時点は、手引きの考え方のどれにも当てはまりません。始期は、診断日や症状が出た時点を基準にさかのぼって決めます。
- 4発熱出現の2週前:発熱は診断の前日に出た症状で、咳嗽はそれより1か月ほど前から続いています。発熱を起点に2週間さかのぼるだけでは、咳で菌を出していた期間を十分に含められません。
- 5発熱が出現した日:発熱が出た日を始期にすると、それより前から続いていた咳嗽の期間が感染性期間から外れてしまいます。接触者を見落とすおそれがあるため適切ではありません。
出典:第112回 保健師国家試験 午後(厚生労働省)問42(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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