第112回 午後 問7
公衆衛生看護活動展開論
公費負担制度の内容で正しいの
Aさん(23歳、男性、留学生)は1人で暮らしている。奨学金の給付を受けており、他に収入はない。来日後、咳が続くため日本語学校の先生に付き添われて医療機関を受診した。診察の結果、感染性の肺結核と診断され、入院勧告が行われた。Aさんは「入院中の医療費は高いですか」と保健師に尋ねた。Aさんは国民健康保険に加入している。保健師がAさんに説明する感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉に基づく公費負担制度の内容で正しいのはどれか。
- 1「入院医療費の自己負担はありません」
- 2「入院医療費総額の5%をAさんが負担します」
- 3「入院医療費総額の10%をAさんが負担します」
- 4「入院医療費総額の30%をAさんが負担します」
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✓ これが正解1「入院医療費の自己負担はありません」
解説
入院勧告の医療費は公費負担で、Aさんの負担はありません。
感染症法では、都道府県知事が入院の勧告や措置を行った患者が申請すると、都道府県が感染症指定医療機関での医療の費用を負担します(第37条第1項)。結核も第26条で入院の勧告の規定が準用されるため、この仕組みの対象です。患者が医療保険に加入している場合は、まず保険から給付を受け、その限度で公費の負担は不要とされます(第39条)。つまり、保険から給付される部分を除いた残りを公費が負担する形です。また第37条第2項により、本人や配偶者、扶養義務者に費用を負担する能力があると認められるときは、その限度で公費の負担は行われません。
Aさんは感染性の肺結核で入院勧告を受けており、国民健康保険に加入しています。収入は奨学金の給付だけで、ほかに収入はありません。そのため、保険の給付と公費の負担を合わせると、入院医療費についてAさんが支払う額は生じないと説明できます。
したがって、入院医療費の自己負担はありませんと伝えるのが正しい説明です。入院勧告による入院は原則として公費、通院による結核の適正な医療は費用の100分の95を公費が負担する、と入院と通院を対にして覚えておくと、割合の選択肢を見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2「入院医療費総額の5%をAさんが負担します」:医療費の5%を自分で負担するのは、通院による結核の適正な医療で、公費が費用の100分の95を負担する場合の考え方です。入院勧告による入院の費用負担とは仕組みが違います。
- 3「入院医療費総額の10%をAさんが負担します」:入院勧告による入院では、保険の給付を除いた残りを都道府県が負担する仕組みになっており、医療費の10%を一律に本人が払うという定めはありません。収入のないAさんの場合はなおさらです。
- 4「入院医療費総額の30%をAさんが負担します」:医療費の30%は、医療保険だけで受診したときの一般的な窓口負担の割合です。感染症法の入院勧告による入院では公費の負担が加わるので、Aさんがこの割合を負担することはありません。
出典:第112回 保健師国家試験 午後(厚生労働省)問7(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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