第112回 午後 問45
疫学
郵送法に関する問題
次の文を読み44~46の問いに答えよ。
A市では傷病分類別の標準化死亡比〈SMR〉による市の健康課題の把握と、課題への対策を検討するために実態調査を計画した。
ある疾患についての県とA市の年齢階級別死亡数を表に示す。
| 年齢階級 | 県 年齢階級別人口 | 県 死亡数 | A市 年齢階級別人口 | A市 死亡数 |
|---|---|---|---|---|
| 40歳未満 | 40万 | 200 | 6,000 | 2 |
| 40~64歳 | 40万 | 400 | 6,000 | 6 |
| 65歳以上 | 20万 | 400 | 8,000 | 24 |
| 合計 | 100万 | 1,000 | 20,000 | 32 |
標準化死亡比〈SMR〉分析から脳血管疾患が重要課題であることが分かり、年齢、性別、栄養・食生活、身体活動・運動、飲酒、服薬、病歴について郵送法による無記名式の市民アンケート調査を行うことにした。この調査について正しいのはどれか。
- 1病歴は要配慮個人情報ではない。
- 2相談や苦情の問合せ先は記載しない。
- 3参加を拒否できる機会を設定しなくてはならない。
- 4調査対象者以外の地域住民には研究内容の説明を行わない。
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✓ これが正解3参加を拒否できる機会を設定しなくてはならない。
解説
無記名でも参加を拒否できる機会を設ける必要があります。
住民を対象にアンケート調査を行うときは、研究の倫理と個人情報の保護に配慮します。対象者には、研究の目的や内容、参加は自由で拒否しても不利益を受けないこと、問合せ先などを知らせ、参加するかどうかを自分で決められるようにすることが基本です。
この調査は、郵送法による無記名式で、年齢や性別に加えて、飲酒や服薬、病歴など健康に関する情報を尋ねます。無記名であっても、対象者が参加を望まない場合に断れる機会を設けることは欠かせません。たとえば、説明文書に参加は任意であることや回答しなくても不利益がないことを明記し、回答を返送しないことで参加を拒否できるようにします。これが正しい記述です。
一方、病歴は、個人情報保護法第2条第3項で要配慮個人情報の例として明記されており、要配慮個人情報ではないとする記述は誤りです。相談や苦情の問合せ先は、対象者が疑問や不安を伝えられるように記載します。また、研究の内容を地域に公開することは、透明性を保つうえで望ましく、対象者以外の住民に説明しないとする理由はありません。疫学調査の倫理は、知らせる・選べる・問い合わせられる、の3点で押さえておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1病歴は要配慮個人情報ではない。:個人情報保護法の第2条第3項は、本人の病歴を、人種や信条などと並ぶ要配慮個人情報の例として挙げています。病歴は特に慎重な取扱いが求められる情報です。
- 2相談や苦情の問合せ先は記載しない。:調査票や説明文書には、対象者が疑問や不安を感じたときに連絡できる相談や苦情の窓口を示しておくことが求められます。問合せ先を書かないと、対象者の権利を守れません。
- 4調査対象者以外の地域住民には研究内容の説明を行わない。:研究の目的や内容を地域に広く公開することは、研究の透明性を保ち、住民の理解を得るうえで役立ちます。対象者以外の住民には説明しないとする方針に、倫理上の理由はありません。
出典:第112回 保健師国家試験 午後(厚生労働省)問45(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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