令和8年度 午後の部 問6
民事保全法
仮差押えに関する問題
民事保全に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 仮差押命令は、債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、発することができない。
イ 仮処分命令においては、保全すべき権利が金銭の支払を受けることをもってその行使の目的を達することができるものである場合であっても、仮処分の執行の停止を得るために債務者が供託すべき金銭の額を定めることはできない。
ウ 土地に対する仮差押えの執行は、強制管理の方法によってすることができる。
エ 保全異議の申立てを取り下げるには、債権者の同意を得ることを要しない。
オ 仮処分命令が発せられた後に、債権者がその本案訴訟の第一審において敗訴の判決を受け、債務者が当該仮処分命令を発した裁判所に事情の変更による保全取消しを申し立てた場合において、裁判所は、当該第一審の判決が上級審において取り消されるおそれがないと判断するときは、当該仮処分命令を取り消すことができる。
- 1アイ
- 2アオ
- 3イウ
- 4ウエ
- 5エオ
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✓ これが正解1アイ
解説
アとイが誤り。審尋必須は仮の地位の仮処分、解放金は定められる
民事保全法のうち、保全命令の発令手続、仮処分解放金、仮差押えの執行方法、保全異議の取下げ、事情の変更による保全取消しを問う問題です。誤っているものを選びます。
アは誤りです。口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を原則として経なければならないのは、仮の地位を定める仮処分命令です(第23条第4項)。仮差押命令にはこの定めがなく、債務者に知られないうちに発することが通常です。イも誤りです。第25条第1項は、保全すべき権利が金銭の支払を受けることをもってその行使の目的を達することができるものであるときに限り、裁判所は、仮処分の執行の停止などを得るために債務者が供託すべき金銭の額を仮処分命令で定めることができるとしています。ウは正しい記述です。第47条第1項は、不動産に対する仮差押えの執行は、仮差押えの登記をする方法又は強制管理の方法により行い、両者を併用できると定めています。
エは正しい記述です。第35条は、保全異議の申立てを取り下げるには債権者の同意を要しないと定めています。オも正しい記述です。債権者が本案の第一審で敗訴し、その判決が上級審で取り消されるおそれがないと判断されるときは、事情の変更があったとして保全命令を取り消すことができるとされています。
したがって、誤っているのはアとイです。債務者の審尋が原則として必要なのは仮の地位を定める仮処分だけ、と区別して覚えておくと判断しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2アオ:この組合せのうちオは正しいので外れます。本案の一審で負け、控訴審でも勝てそうにない債権者については、保全の前提が崩れたとして取消しが認められています。
- 3イウ:イは誤りですが、ウは正しい記述です。土地のような不動産の仮差押えの執行は、仮差押えの登記のほか強制管理の方法によってもでき、併用も認められています。
- 4ウエ:ウとエはどちらも条文どおりの正しい記述です。不動産の仮差押えは強制管理でも執行でき、保全異議の取下げに債権者の同意は必要ありません。
- 5エオ:エもオも正しい記述です。保全異議は債務者が債権者の同意なしに取り下げられ、本案で債権者が敗訴し覆る見込みがなければ事情変更による取消しが可能です。
出典:令和8年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問6(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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