令和4年度 午後の部 問11
供託法
執行供託に関する問題
執行供託に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 第三債務者は、金銭債権である給与に係る債権につき差押可能額の限度で差し押さえられた場合であっても、当該金銭債権の全額に相当する金銭を供託することができる。
イ 金銭債権の一部に対する差押命令の送達後、配当要求があった旨を記載した文書の送達を受けた第三債務者は、当該金銭債権の全額に相当する金銭を供託しなければならない。
ウ 金銭債権の全部に対して仮差押えの執行がされた後、当該金銭債権の一部に対して差押えがされたときは、第三債務者は、当該金銭債権の全額に相当する金銭を供託しなければならない。
エ 金銭債権が差し押さえられ、第三債務者が差押金額に相当する金銭を供託した後、その差押命令の申立てが取り下げられた場合には、債務者は、執行裁判所の支払委託に基づかずに直接供託金の払渡しの請求をすることができる。
オ 第三債務者は、滞納処分による差押えがされた金銭債権について強制執行による差押命令の送達を受けたときは、当該金銭債権の全額に相当する金銭を供託しなければならない。
- 1アイ
- 2アウ
- 3イオ
- 4ウエ
- 5エオ
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✓ これが正解3イオ
解説
イとオが誤りで、ア・ウ・エは執行供託の規定や先例どおりです。
執行供託(差押えなどがされた金銭債権について、第三債務者が供託して執行手続に委ねる供託)は、民事執行法第156条の権利供託と義務供託の区別が軸です。
アは正しい記述です。第156条第1項は、第三債務者は差押えに係る金銭債権の全額に相当する金銭を供託することができると定めています。給与債権のうち差押可能額だけが差し押さえられた場合でも、その給与債権の全額を供託できます。イは誤りです。同条第2項は、配当要求があった旨を記載した文書の送達を受けたときは、差し押さえられた部分に相当する金銭を供託しなければならないとしています。供託が義務になるのは差押えの部分で、全額の供託までは義務づけられていません。
ウは正しい記述です。金銭債権の全部に仮差押えの執行がされた後に一部が差し押さえられると、差押えと仮差押えが競合するので、第三債務者は債権の全額に相当する金銭を供託しなければなりません。エも正しく、差押金額を供託した後に差押命令の申立てが取り下げられたときは、債務者は執行裁判所の支払委託によらずに直接払渡しを請求できるとされています。オは誤りです。滞納処分による差押えが先にされた金銭債権に強制執行による差押命令が送達された場合、第三債務者は全額を供託することができるとされていますが、供託は義務ではありません。
したがって、誤っているのはイとオの組合せです。配当要求なら差押部分だけが義務、滞納処分が先なら権利供託、と条文と場面を対応させると見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アイ:イは誤りですが、アは正しい記述です。給与の一部だけが押さえられた場面でも、勤務先は給与の総額をまとめて供託所に納めて債務を免れることができます。
- 2アウ:アとウを選ぶ組合せですが、差押可能額の差押えで全額を供託することも、仮差押えと差押えの競合で全額を供託することも認められており、どちらも正しい記述です。
- 4ウエ:ウとエを選ぶ組合せですが、仮差押えと差押えが競合したときの全額の義務供託も、取下げ後の債務者への直接の払渡しも先例どおりで、どちらも正しい記述です。
- 5エオ:オは誤りですが、エは正しい記述です。申立ての取下げで配当の手続が不要になるため、債務者自身が供託所に出向いて供託金を受け取ることが認められています。
出典:令和4年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問11(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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