令和6年度 午後の部 問10
供託法
執行供託に関する問題
執行供託に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 金銭債権が差し押さえられた場合において、第三債務者が差押金額に相当する金銭を供託するときは、債務者の住所地の供託所にしなければならない。
イ 金銭債権が差し押さえられた場合において、第三債務者が差押金額に相当する金銭を供託するときは、供託書の「被供託者の住所氏名」欄には、差押債権者の氏名又は名称及び住所を記載しなければならない。
ウ 金銭債権が差し押さえられた場合において、第三債務者が差押金額に相当する金銭を供託したときは、供託官は、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。
エ 金銭債権の一部が差し押さえられた場合において、第三債務者が当該金銭債権の全額に相当する金銭を供託したときは、執行債務者は、当該差押えに係る金額を超える部分について、供託を受諾して、還付請求をすることができる。
オ 金銭債権に対して滞納処分による差押えのみがされた場合には、第三債務者は、差押金額に相当する金銭を供託することができない。
- 1アウ
- 2アエ
- 3イウ
- 4イオ
- 5エオ
答えと解説を見る
✓ これが正解5エオ
解説
エとオが正しい。供託地は履行地、届出は第三債務者、被供託者は差押債権者でない
金銭債権が差し押さえられたときの執行供託について、民事執行法と供託の先例で判断します。
アは誤りです。民事執行法第156条第1項は、第三債務者は債務の履行地の供託所に供託することができると定めており、債務者の住所地の供託所ではありません。イは誤りです。差押債権者は、供託された金銭から執行裁判所の配当等の手続を通じて支払を受ける立場で、供託所に還付を請求する被供託者として記載される者ではありません。ウは誤りです。供託をしたときにその事情を執行裁判所に届け出なければならないのは第三債務者であり、供託官ではありません。エは正しく、金銭債権の一部だけが差し押さえられたのに第三債務者が全額を供託した場合、差押えの金額を超える部分は債務者のためにした弁済供託の性質を持つので、執行債務者は供託を受諾して、その部分の還付を請求することができます。オは正しく、滞納処分による差押え(税金の滞納を理由とする差押え)だけがされている場合には、第三債務者が供託できるとする規定がなく、差押金額に相当する金銭を供託することはできません。強制執行による差押えと競合したときに供託の扱いが定められています。
したがって正しいのはエとオで、エとオを選ぶ組合せが正解です。
執行供託は、場所は履行地、届出は第三債務者から執行裁判所へ、と人と場所を組にして覚えると整理しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アウ:アは供託地を債務者の住所地とする点で誤り、ウは届出をする者を供託官とする点で誤りです。どちらも条文の定めと合いません。
- 2アエ:アは誤りで、供託するのは債務の履行地の供託所です。エは正しい記述ですが、組合せのもう一方が誤りなので当たりません。
- 3イウ:イは差押債権者を被供託者として記載するとする点で、ウは事情の届出を供託官がするとする点で誤りです。正しい記述を含みません。
- 4イオ:オは正しいのですが、イは誤りです。差押債権者は配当等の手続で支払を受ける者で、被供託者の欄に記載して還付を受ける者ではありません。
出典:令和6年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問10(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)