令和6年度 午前の部 問17
民法
保証に関する問題
保証に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕以下の試験問題については、国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用は考慮しないものとして、解答してください。また、第4問から第23問までの試験問題については、商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。
ア 保証契約は、その内容を記録した電磁的記録によっても有効に締結することができる。
イ 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約であって保証人が法人でないものは、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を定めなければ、その効力を生じない。
ウ 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約であって保証人が法人であるものにおける主たる債務の元本は、主たる債務者が死亡したときは、確定する。
エ 事業の用に供する建物の賃貸借契約に基づく賃料債務を主たる債務とする保証契約は、その契約の締結に先立ち、公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない。
オ 主たる債務者は、事業のために負担する債務を主たる債務とする保証を法人でない者に委託する場合には、その者に対し、財産及び収支の状況を含む民法所定の事項に関する情報を提供しなければならない。
- 1アイ
- 2アオ
- 3イウ
- 4ウエ
- 5エオ
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✓ これが正解4ウエ
解説
ウとエが誤り。死亡による元本確定は個人根保証、公正証書は貸金等
保証のうち、書面性、個人根保証契約の極度額と元本の確定事由、事業に係る債務の保証についての公正証書と情報提供義務を確かめる問題です。誤っているものを選びます。
アは正しい記述です。保証契約は書面でしなければ効力を生じませんが、その内容を記録した電磁的記録によってされたときは、書面によってされたものとみなされます。イも正しい記述です。一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約で保証人が法人でないもの(個人根保証契約)は、元本・利息・違約金・損害賠償その他の従たるもの全部と、保証債務について約定された違約金・損害賠償の額について、その全部に係る極度額を定めなければ効力を生じません。オも正しい記述です。主たる債務者は、事業のために負担する債務の保証を個人に委託するときは、財産及び収支の状況などの情報を提供しなければなりません。
ウは誤りです。民法第465条の4第1項第三号は、主たる債務者又は保証人が死亡したときに元本が確定すると定めていますが、これは個人根保証契約についての規定です。保証人が法人である根保証には適用されません。エも誤りです。民法第465条の6第1項が公正証書による保証意思の表示を求めているのは、事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約などです。事業用の建物の賃料債務は貸金等債務ではないので、公正証書は必要ありません。
したがって誤っているのはウとエです。個人の保証人を守る規定は、保証人が個人か法人か、主たる債務が貸金等か、という二つの切り口で対象が絞られている、と整理して覚えると見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アイ:アもイも誤りを含みません。保証の内容をデータで残す形でも書面と同じ扱いになりますし、保証人が個人の根保証では、利息や違約金まで含めた上限額を決めておかないと契約が無効です。
- 2アオ:アとオはどちらも条文どおりです。オの情報提供義務は、事業のための債務の保証を個人に委託する主たる債務者に課されており、財産と収支の状況が提供すべき情報に含まれます。
- 3イウ:ウは法人が保証人となる根保証にも主たる債務者の死亡による元本確定を当てはめる点で誤りですが、イの個人根保証契約の極度額の定めは条文どおりで正しいため、この組合せは合いません。
- 5エオ:エは賃料債務の保証にも公正証書による意思表示を求める点で誤りですが、オの個人の保証人への情報提供義務は正しい記述なので、オを誤りとする点が食い違います。
出典:令和6年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問17(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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