令和6年度 午前の部 問6
民法
時効に関する問題
時効に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕以下の試験問題については、国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用は考慮しないものとして、解答してください。また、第4問から第23問までの試験問題については、商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。
ア 不動産の贈与を受け、所有権に基づいて自己の物として不動産を占有する者は、当該不動産について、取得時効を理由として所有権を有することを主張することができない。
イ 期限の定めのない債権の消滅時効は、債務者が履行の請求を受けた時から進行する。
ウ 後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅により当該後順位抵当権者に対する配当額が増加する場合には、当該先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができる。
エ 時効期間を計算するに当たっては、その期間が午前零時から始まるときを除き、期間の初日は算入しない。
オ 主たる債務者が主たる債務について時効の利益を放棄した場合においても、保証人は、主たる債務の消滅時効を援用することができる。
- 1アイ
- 2アエ
- 3イウ
- 4ウオ
- 5エオ
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✓ これが正解5エオ
解説
エとオが正しい。後順位抵当権者は先順位の時効を援用できない
時効について、取得時効の対象、消滅時効の起算点、援用できる者、期間の計算、時効の利益の放棄の効果を確かめる問題です。正しいものを選びます。
エは正しい記述です。時効期間の計算にも民法の期間の計算の規定が及び、民法第140条は、日、週、月又は年によって期間を定めたときは期間の初日は算入しない、ただしその期間が午前零時から始まるときはこの限りでない、と定めています。オも正しい記述です。時効の利益の放棄の効果は放棄した者にだけ及ぶと解されており、主たる債務者が放棄しても、保証人は主たる債務の消滅時効を援用できます。
アは誤りです。判例は、所有権に基づいて不動産を占有する者であっても、自己の物について取得時効を援用して所有権を主張できるとしています。贈与を受けたことの証明が難しい場合などに意味があります。イも誤りです。期限の定めのない債権は、債権者がいつでも請求できるので、債権が成立した時から権利を行使することができ、消滅時効もその時から進行します。履行の請求を受けた時からとなるのは、債務者が遅滞の責任を負う時期の話です。ウも誤りです。判例は、後順位抵当権者が受ける配当額の増加は反射的な利益にすぎないとして、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効の援用を認めていません。
したがって正しいのはエとオです。時効を援用できるのは時効で直接利益を受ける者(保証人・物上保証人・第三取得者など)で、後順位抵当権者は含まれない、と区別して覚えましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アイ:アとイはどちらも誤りです。自己の物でも取得時効の主張は判例上認められ、期限の定めのない債権の消滅時効は、請求を受けた時ではなく債権の成立時から進みます。
- 2アエ:エは期間の初日を算入しない原則と午前零時の例外を正しく述べていますが、アは自己の物の時効取得を否定しており、判例の立場と反対なので組合せとして合いません。
- 3イウ:イとウはどちらも誤りです。イは履行遅滞の時期と消滅時効の起算点を取り違え、ウは配当額の増加という反射的な利益しかない後順位抵当権者に援用権を認めてしまっています。
- 4ウオ:オの保証人による援用は放棄の効果が放棄者にだけ及ぶことから正しく導けますが、ウの後順位抵当権者は判例上、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用できないため誤りです。
出典:令和6年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問6(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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