令和5年度 午前の部 問13
民法
先取特権に関する問題
先取特権に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕以下の試験問題については、国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用は考慮しないものとして、解答してください。また、第4問から第23問までの試験問題については、商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。
ア 一般の先取特権者は、不動産について登記をしなくても、不動産売買の先取特権について登記をした者に優先して当該不動産から弁済を受けることができる。
イ 同一の目的物について共益の費用の先取特権者が数人あるときは、各先取特権者は、その債権額の割合に応じて弁済を受ける。
ウ 一般の先取特権者は、債務者の財産に不動産と不動産以外の財産とがある場合には、まず不動産から弁済を受けなければならない。
エ 同一の不動産について売買が順次された場合には、売主相互間における不動産売買の先取特権の優先権の順位は、売買の前後による。
オ 不動産の売買の先取特権の効力を保存するためには、売買契約と同時に、不動産の代価又はその利息の弁済がされていない旨を登記しなければならない。
- 1アイ
- 2アウ
- 3イエ
- 4ウオ
- 5エオ
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✓ これが正解2アウ
解説
アは登記をした第三者に負け、ウは不動産以外が先なので誤り
先取特権(法律が定める特定の債権者に優先弁済を認める担保物権)の順位と効力を、民法の条文で判断します。誤っているものを2つ選びます。
アは誤りです。民法第336条は、一般の先取特権は、不動産について登記をしなくても、特別担保を有しない債権者に対抗できるとしつつ、ただし書で、登記をした第三者に対してはこの限りでないと定めています。不動産売買の先取特権の登記をした者は登記をした第三者に当たるので、登記のない一般の先取特権者は優先できません。
イは正しい記述です。第332条は、同一の目的物について同一順位の先取特権者が数人あるときは、各先取特権者はその債権額の割合に応じて弁済を受けると定めています。共益の費用の先取特権者どうしは同じ順位なので、債権額で按分します。
ウは誤りです。第335条第1項は、一般の先取特権者は、まず不動産以外の財産から弁済を受け、なお不足があるのでなければ、不動産から弁済を受けることができないと定めています。順番が記述と逆です。不動産は他の担保の目的になりやすく、他の債権者への影響が大きいため、後回しにされていると理解されています。
エは正しい記述です。第331条第2項のとおり、同一の不動産について売買が順次された場合、売主相互間の不動産売買の先取特権の順位は売買の前後によります。オも正しく、第340条は、不動産の売買の先取特権の効力を保存するには、売買契約と同時に、代価又はその利息の弁済がされていない旨を登記しなければならないと定めています。
したがって、アとウを選ぶ組合せが正解です。一般の先取特権は、登記がなくても一般債権者には勝つが登記した者には負ける、取るときは動産などから先、と2点で整理しておくと便利です。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アイ:アとイを選ぶ組合せです。アは登記をした第三者にも優先するとしていて第336条ただし書に反しますが、イは同順位の先取特権者が債権額の割合で分け合うという第332条どおりで、正しい記述です。
- 3イエ:イとエを選ぶ組合せですが、同順位者の按分を述べたイも、順次の売買で売主どうしの順位を売買の前後で決めるエも条文どおりで、どちらにも誤りがありません。
- 4ウオ:ウとオを選ぶ組合せです。ウは不動産から先に弁済を受けるとしていて誤りですが、オは売買契約と同時に代価未払の旨を登記するという第340条の要件どおりで、正しい記述です。
- 5エオ:エとオを選ぶ組合せです。不動産売買の先取特権の順位も効力保存の方法も条文の内容どおりなので、誤っているものの組合せにはならず、誤りであるアとウが外れています。
出典:令和5年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問13(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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