令和4年度 午前の部 問5
民法
代理に関する問題
代理に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕以下の試験問題については、国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用は考慮しないものとして、解答してください。また、第4問から第23問までの試験問題については、商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。
ア 委任による代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる。
イ 代理人が本人のためにすることを示さずに意思表示をした場合であっても、その権限内において本人のためにした行為は、本人に対して直接にその効力を生ずる。
ウ 代理人が保佐開始の審判を受けた場合には、代理権は消滅する。
エ 同一人物が、債権者及び債務者双方の代理人として代物弁済をする場合であっても、債権者及び債務者双方があらかじめ許諾していたときは、無権代理行為とはみなされない。
オ 法人が代理人によって動産を買った場合において、売主が無権利者であることについて、当該法人の代表者が善意無過失であっても、代理人が悪意であったときは、当該法人は、当該動産を即時取得することはできない。
- 1アイ
- 2アウ
- 3イオ
- 4ウエ
- 5エオ
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✓ これが正解5エオ
解説
エとオが正しく、ア・イ・ウは代理の条文の要件を外しています。
代理の基本ルールである復代理人の選任、顕名、代理権の消滅事由、双方代理、代理行為の瑕疵を、民法の条文で判断する問題です。
エは正しい記述です。民法第108条第1項は、同一の法律行為について当事者双方の代理人としてした行為を代理権を有しない者がした行為とみなすとしつつ、ただし書で、債務の履行と本人があらかじめ許諾した行為は除いています。代物弁済は本来の給付と異なる給付をする行為なので単なる債務の履行とはいえませんが、債権者・債務者の双方があらかじめ許諾していれば、無権代理行為とはみなされません。オも正しく、民法第101条第1項により、ある事情を知っていたか、知らなかったことに過失があったかは代理人について決めます。代理人が売主の無権利について悪意であれば、法人の代表者が善意無過失でも、即時取得の要件である善意無過失を満たしません。
アは誤りです。民法第104条により、委任による代理人(任意代理人)は、本人の許諾を得たときか、やむを得ない事由があるときでなければ復代理人を選任できません。自己の責任で自由に選任できるのは法定代理人です。イも誤りで、本人のためにすることを示さない意思表示は、原則として代理人自身のためにしたものとみなされ、相手方が本人のためであることを知り、又は知ることができたときに限って本人に効力が生じます。ウも誤りです。代理人について代理権が消滅するのは、死亡、破産手続開始の決定、後見開始の審判を受けたときであり、保佐開始の審判は消滅事由に含まれていません。
したがって、正しいものはエとオです。代理人の消滅事由は後見開始までで保佐・補助は入らない、と線を引いて覚えると迷いません。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アイ:アもイも誤りです。任意代理人の復代理人の選任には本人の許諾かやむを得ない事由が必要で、顕名のない意思表示は相手方が知り又は知り得たときにしか本人に効力が生じません。
- 2アウ:アは任意代理人が自由に復代理人を選べるとしている点で、ウは保佐開始の審判で代理権が消えるとしている点で誤りです。代理権の消滅事由は後見開始の審判までです。
- 3イオ:オは正しいものの、イが入っています。顕名を欠く意思表示は代理人自身のためにしたものとみなされるのが原則で、無条件に本人へ効力が及ぶとするイは誤りです。
- 4ウエ:エは正しいものの、ウが入っています。代理人が保佐開始の審判を受けても代理権は当然には消滅しないので、消滅するとしたウは誤りです。
出典:令和4年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問5(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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