令和4年度 午前の部 問18
民法
使用貸借に関する問題
使用貸借に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕以下の試験問題については、国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用は考慮しないものとして、解答してください。また、第4問から第23問までの試験問題については、商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。
ア 契約の本旨に反する借主の使用又は収益によって生じた損害の賠償請求権については、貸主が返還を受けた時から1年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
イ 借主が目的物の通常の必要費を支出したときは、貸主にその償還を請求することができる。
ウ 借主が目的物の改良のための費用を支出したときは、それによる目的物の価格の増加が現存していなくても、貸主は、その支出した金額の償還をしなければならない。
エ 借主が死亡したときは、使用貸借は終了する。
オ 期間及び使用収益の目的の定めのない使用貸借は、貸主がいつでも解除することができる。
- 1アウ
- 2アオ
- 3イウ
- 4イエ
- 5エオ
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✓ これが正解3イウ
解説
イとウが誤りで、必要費と有益費の扱いが条文と違います。
使用貸借(無償で物を貸し借りする契約)について、費用の負担、損害賠償請求権の時効、終了事由を民法の条文で判断する問題です。無償である点から、賃貸借と比べて借主に厳しく、貸主に有利な規律になっていることが手がかりです。
アは正しい記述です。民法第600条第2項は、契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償請求権について、貸主が返還を受けた時から1年を経過するまでの間は時効が完成しないとしています。エも正しく、民法第597条第3項により、使用貸借は借主の死亡によって終了します。オも正しく、民法は、期間も使用収益の目的も定めなかった使用貸借について、貸主はいつでも契約の解除ができると定めています。
イは誤りです。民法第595条第1項は、借主は借用物の通常の必要費を負担するとしています。無償で使わせてもらう以上、日常の維持費は借主持ちという考え方で、賃貸借で賃貸人が必要費を負担するのとは逆です。ウも誤りで、民法第595条第2項は、通常の必要費以外の費用について第583条第2項を準用し、同項は第196条の規定に従って償還するとしています。第196条の規定では、有益費は、価格の増加が現存する場合に限り、貸主の選択に従って支出した金額又は増価額を償還させることができるので、増加が現存していなければ償還を求められません。
したがって、誤っているものはイとウです。通常の必要費は借主、有益費は増価が残っている限りで貸主、と費用の種類ごとに分けて覚えると判断が速くなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アウ:ウの誤りは捉えていますが、アを誤りとした点が違います。用法違反による損害の賠償請求権は、貸主が物を返してもらってから1年間は時効が完成しないので、アは正しい記述です。
- 2アオ:アとオはどちらも正しい記述です。返還から1年は損害賠償請求権の時効が完成せず、期間も目的も決めていない使用貸借は貸主がいつでも解除できます。
- 4イエ:イの誤りは捉えていますが、エを誤りとした点が違います。使用貸借は借主個人との信頼関係に基づくため、借主が亡くなれば終わるので、エは正しい記述です。
- 5エオ:エとオはどちらも正しい記述です。借主の死亡で使用貸借は終了し、期間も使用収益の目的もなければ貸主はいつでも解除できるので、誤りの組合せになりません。
出典:令和4年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問18(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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