第38回 問題60
刑事司法と福祉
事例を読んで,更生保護法におけるAさんの生活環境の調整に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
刑務所で受刑中であるAさん(80歳)は,生活環境の調整が進められており,釈放後は引受人の長男のもとに帰住することが決まっているが,認知症が進み介護が必要な状態になりつつある。
- 1Aさんの生活環境の調整は,社会復帰調整官が担当している。
- 2Aさんは,特別調整の対象者である。
- 3Aさんの帰住予定地を管轄する保護観察所は,当該地域の地域生活定着支援センターに福祉サービスの調整を依頼することができる。
- 4Aさんの生活環境の調整を保護司が担当することはない。
- 5Aさんの生活環境の調整の状況は,地方検察庁に通知される。
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✓ これが正解3Aさんの帰住予定地を管轄する保護観察所は,当該地域の地域生活定着支援センターに福祉サービスの調整を依頼することができる。
解説
保護観察所は地域生活定着支援センターに、福祉サービスの調整を依頼できます。
この事例の決め手は、Aさん(80歳)の釈放後の帰住先が引受人の長男のもとに決まっている一方で、認知症が進み介護が必要になりつつある、という2つの事実です。刑務所に収容中の段階で、釈放後の暮らしを整える生活環境の調整が進められている場面です。
最も適切なのは、帰住予定地を管轄する保護観察所が、その地域の地域生活定着支援センターに福祉サービスの調整を依頼できるという記述です。更生保護法第82条は、保護観察所の長が、収容中の者の社会復帰を円滑にするため、家族などの関係人を訪ねて協力を求めるなどして、釈放後の住居や就業先などの生活環境の調整を行うと定めています。地域生活定着支援センターは、高齢や障害のために福祉の支援が必要な矯正施設の退所者などについて、保護観察所と協働して福祉サービスにつなぐ役割を担っています。帰住先があっても介護サービスの利用などの調整が必要なAさんのような人について、保護観察所はセンターに協力を求められます。
帰住先が無い高齢者・障害者を対象にするのが特別調整、帰住先がある人を含めて広く行うのが通常の生活環境の調整、と分けて覚えると、事例の人がどちらにあたるかを判断しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1Aさんの生活環境の調整は,社会復帰調整官が担当している。:社会復帰調整官は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った人の医療観察制度で、生活環境の調査・調整や精神保健観察を担う職員です。受刑者の生活環境の調整は保護観察官と保護司が担当します。
- 2Aさんは,特別調整の対象者である。:特別調整は、高齢や障害があり、しかも釈放後に適当な帰住先が無い受刑者などを対象にする仕組みです。Aさんは長男のもとへの帰住が決まっているため、特別調整の対象にはあたりません。
- 4Aさんの生活環境の調整を保護司が担当することはない。:生活環境の調整では、保護司が帰住予定地の家族を訪ねて引受けの意思や住まいの状況を確かめるなど、保護観察官とともに中心的な役割を担います。保護司が担当することはないという記述は誤りです。
- 5Aさんの生活環境の調整の状況は,地方検察庁に通知される。:生活環境の調整の結果は、仮釈放の審理などに生かすため、地方更生保護委員会や収容されている刑事施設に伝えられます。地方検察庁に通知する仕組みではありません。
出典:第38回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題60。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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