第36回 問題150
刑事司法と福祉
刑の一部の執行猶予制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
- 1本制度の導入により,検察官による起訴猶予の処分は廃止された。
- 2本制度の導入により,執行する刑の全てを猶予する制度は廃止された。
- 3本制度の導入により,釈放後の生活環境の調整をする制度は廃止された。
- 4本制度の刑の一部の執行猶予期間は,刑期とともに判決時に言い渡される。
- 5本制度において,保護観察が付されることはない。
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✓ これが正解4本制度の刑の一部の執行猶予期間は,刑期とともに判決時に言い渡される。
解説
刑の一部の執行猶予期間は、刑期とともに判決で言い渡されます。
刑の一部の執行猶予制度は、比較的短い刑のうち一部の期間を刑事施設で執行し、残りの期間の執行を猶予して、社会の中で更生を図る期間を確保する制度です。施設内での処遇と社会内での処遇を連携させ、再犯を防ぐことがねらいです。この問は、刑法の規定と、ほかの制度との関係で判断します。
出題当時の刑法は、一定の者が三年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受けた場合に、犯情の軽重や犯人の境遇などを考慮して、再び犯罪をすることを防ぐために必要であり、かつ相当であると認められるときは、一年以上五年以下の期間、その刑の一部の執行を猶予することができると定めていました。裁判所は判決で、刑期と、そのうち執行を猶予する部分の期間、そして猶予の期間を一度に言い渡します。例えば、懲役2年のうち6月の執行を2年間猶予する、という形です。したがって、刑の一部の執行猶予期間は刑期とともに判決時に言い渡されるという記述が正しいものです。
この制度は、既存の制度を置き換えたものではなく、新たな選択肢として加えられたものです。また、猶予の期間中は保護観察に付することができます。
刑の一部の執行猶予の問では、言い渡すのは判決、既存の制度は残る、保護観察も付けられる、と押さえておくと見分けやすくなります。出題当時の刑法では三年以下の懲役又は禁錮が対象と書かれていました。現在は2025年6月1日施行の刑法等の改正により、三年以下の拘禁刑の言渡しを受けた場合が対象と定められています。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1本制度の導入により,検察官による起訴猶予の処分は廃止された。:検察官が事件の事情を考えて起訴しないことを選べる起訴猶予の処分は、刑事訴訟法の仕組みとして今も続いています。一部の執行猶予の導入で廃止されたものではありません。
- 2本制度の導入により,執行する刑の全てを猶予する制度は廃止された。:刑の全てについて執行を猶予する従来の執行猶予は、今も刑法に定められています。一部の執行猶予は、それに加えて裁判所が選べる新しい選択肢として設けられました。
- 3本制度の導入により,釈放後の生活環境の調整をする制度は廃止された。:刑事施設に収容されている人の帰住先などを整える生活環境の調整は、更生保護法の仕組みとして続いています。一部の執行猶予は社会内での処遇につなぐ制度で、むしろ調整を必要とします。
- 5本制度において,保護観察が付されることはない。:条文は、一部の執行猶予の期間中に保護観察を付けられると定めています。保護観察と組み合わせて社会の中で立ち直りを支えることが、この制度の持ち味です。
出典:第36回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題150。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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