第37回 問題62
刑事司法と福祉
事例を読んで,「医療観察法」に基づく地域処遇に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Aさん(30歳)は「医療観察法」に基づく入院決定を受け,指定入院医療機関に入院していたが,その後,退院許可の決定を受け,現在は,地域処遇を受けて指定通院医療機関に通院している。
- 1Aさんの精神保健観察は,保護観察所の保護観察官が担当する。
- 2Aさんが「精神保健福祉法」に基づく医療保護入院となることはない。
- 3Aさんの地域処遇が3年を超えて実施されることはない。
- 4Aさんの地域処遇の期間は,保護観察所長の決定により短縮することがある。
- 5Aさんの処遇の実施計画は,保護観察所長が関係機関と協議して定める。(注)1 「医療観察法」とは,「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。2 「精神保健福祉法」とは,「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」のことである。
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✓ これが正解5Aさんの処遇の実施計画は,保護観察所長が関係機関と協議して定める。(注)1 「医療観察法」とは,「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。2 「精神保健福祉法」とは,「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」のことである。
解説
処遇の実施計画は、保護観察所長が関係機関と協議して定めます。
医療観察法は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った人に、適切な医療を確保して社会復帰を促すための制度です。入院決定を受けた人が退院許可の決定を受けると、指定通院医療機関での通院医療と、保護観察所による精神保健観察を中心とする地域処遇に移ります。事例のAさんは、この地域処遇の段階にいます。
医療観察法第104条は、保護観察所の長は、指定通院医療機関の管理者と、本人の居住地を管轄する都道府県知事及び市町村長と協議の上、その処遇に関する実施計画を定めなければならないとしています。したがって、Aさんの処遇の実施計画は、保護観察所長が関係機関と協議して定めるとする記述が最も適切です。通院医療、精神保健観察、福祉サービスなどの援助を、関係機関が一つの計画の下で連携して行うための仕組みです。
地域処遇の担い手と期間の決まりも押さえておきます。精神保健観察を担うのは保護観察所に置かれる社会復帰調整官で、地域処遇の期間は原則3年です。期間の延長や処遇の終了は裁判所が決定します。見分け方は、計画づくりと調整は保護観察所長、期間の延長や終了の決定は裁判所、日々の観察は社会復帰調整官、と役割を分けて覚えることです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1Aさんの精神保健観察は,保護観察所の保護…:医療観察法の精神保健観察を担当するのは、保護観察所に置かれる社会復帰調整官です。精神保健福祉士などの専門性をもつ職員で、刑の保護観察を担う保護観察官が受け持つものではありません。
- 2Aさんが「精神保健福祉法」に基づく医療保…:医療観察法による地域処遇の期間中でも、精神保健福祉法に基づく入院が妨げられるわけではありません。病状によっては医療保護入院などになることがあり、ないと言い切る記述は誤りです。
- 3Aさんの地域処遇が3年を超えて実施される…:地域処遇の期間は原則3年ですが、裁判所の決定によって、通じて2年を超えない範囲で延長することができます。3年を超えて実施されることはないという記述は、この延長の仕組みを見落としています。
- 4Aさんの地域処遇の期間は,保護観察所長の…:地域処遇を期間の満了前に終えるかどうかは、保護観察所長などの申立てを受けて裁判所が決定します。保護観察所長が自らの決定で期間を短くする仕組みではありません。
出典:第37回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題62。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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