第38回 問題62
刑事司法と福祉
「医療観察法」及び医療観察制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
- 1医療観察制度の対象は,病気を理由に刑の執行停止を受けて刑務所を釈放された者である。
- 2社会復帰調整官は,地方更生保護委員会に配置される。
- 3「医療観察法」の目的は,地域社会において刑罰を執行することにある。
- 4「医療観察法」に基づく「入院をさせる旨の決定」は医療機関が行う。
- 5「医療観察法」において,入院によらない医療を行う期間中は,精神保健観察に付することとされている。(注) 「医療観察法」とは,「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。
答えと解説を見る
✓ これが正解5「医療観察法」において,入院によらない医療を行う期間中は,精神保健観察に付することとされている。(注) 「医療観察法」とは,「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。
解説
入院によらない医療を行う期間中は、精神保健観察に付されます。
この問は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(医療観察法)と医療観察制度の基本を問うものです。だれが対象になり、だれが決定し、だれが地域での観察を担うのかを、条文で押さえているかが判断の軸です。
正しいのは、入院によらない医療を行う期間中は、精神保健観察に付するという記述です。医療観察法第106条第1項は、裁判所から入院によらない医療を受けさせる決定を受けた者は、その医療を行う期間中、精神保健観察に付すると定めています。精神保健観察は、保護観察所の社会復帰調整官が、本人と面接したり指定通院医療機関などと連絡を取ったりして、必要な医療を続けて受けているかを見守り、助言や指導を行うものです。地域で通院しながら暮らす本人を、医療と福祉の関係機関がつながって支える仕組みの中心になります。
医療観察制度は、地方裁判所が入院や通院の決定をし、指定医療機関が医療を行い、保護観察所の社会復帰調整官が地域での生活と観察を担う、という三者の役割分担で覚えると、機関を入れ替えた記述に気づきやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1医療観察制度の対象は,病気を理由に刑の執…:医療観察制度の対象は、殺人や放火などの重大な他害行為を行い、心神喪失や心神耗弱が認められて不起訴になったり、無罪などの裁判が確定したりした人です。病気を理由に刑の執行停止を受けた人ではありません。
- 2社会復帰調整官は,地方更生保護委員会に配…:医療観察法第20条は、社会復帰調整官を保護観察所に置くと定めています。地方更生保護委員会は仮釈放などを判断する機関で、社会復帰調整官の配置先ではありません。
- 3「医療観察法」の目的は,地域社会において…:医療観察法第1条は、継続的かつ適切な医療とそのための観察・指導によって病状の改善と同様の行為の再発防止を図り、社会復帰を促すことを目的としています。刑罰を執行するための法律ではありません。
- 4「医療観察法」に基づく「入院をさせる旨の…:入院をさせる旨の決定は、地方裁判所が、裁判官と精神保健審判員の合議体による審判を経て行います。医療機関は決定に基づいて医療を行う側であり、決定を下す機関ではありません。
出典:第38回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題62。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)