第36回 問題116
ソーシャルワークの理論と方法
事例を読んで,Y地域包括支援センターのC社会福祉士が参加している認知症初期集中支援チームの対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Y地域包括支援センターに「夫の物忘れがひどく,指摘するとすぐに怒りだすことと,時折暴力を振るうことで困っている」とDさん(72歳)から電話相談があった。その後,Dさんが来所して夫の日常の様子を詳しく話した。夫に病院で受診をしてもらおうとしたが,「俺はどこも悪くないから病院には行かない」と拒否され,困っているという。そこでCは,認知症初期集中支援チームにおける対応が必要と考え,ケース会議の開催を要請した。
- 1夫を刺激しないように,認知症サポーターとCが自宅を訪問する。
- 2Dさんが一人の時間を持てるように自宅を訪問し,夫の利用可能な認知症カフェの案内を手渡す。
- 3夫の状態について,認知症サポート医から専門的知見による助言を求める。
- 4夫の生活の様子を聞くために,介護福祉士とCが自宅を訪問する。
- 5Dさんへの暴力回避のために,保健所の職員とCが自宅を訪問する。
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✓ これが正解3夫の状態について,認知症サポート医から専門的知見による助言を求める。
解説
チームとして認知症サポート医に専門的な助言を求めるのが適切です。
認知症初期集中支援チームは、医療と介護の専門職に、認知症の専門医(認知症サポート医など)が加わって構成されるチームです。認知症が疑われるのに受診や介護サービスにつながっていない人とその家族を訪問し、アセスメント(状況を把握して課題を見立てること)を行い、医療や介護につなぐ初期の支援を集中的に行います。チーム員会議で専門医の意見を交えて方針を決めるのが、このチームの大きな特徴です。
事例の決め手は、夫に物忘れや怒りっぽさ、時折の暴力があり、しかも病院には行かないと受診を拒んでいる点です。医学的な見立てがないままでは、どのような病気の可能性があるのか、どう訪問し、どう医療につなぐのがよいのかを決められません。そこで、夫の状態について認知症サポート医から専門的知見による助言を求める対応が、チームとしての最初の一歩として最も適切です。助言をもとに、訪問のしかたや受診を勧める手立てをチームで組み立てていきます。
支援の段階でいえば、今はケース会議を開いて方針を立てる初期の段階です。認知症初期集中支援チームの問では、専門医が加わるチームであることを手がかりに、医学的な見立てを得る対応を選ぶと見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1夫を刺激しないように,認知症サポーターとCが自宅を訪問する。:認知症サポーターは養成講座を受けた住民などのボランティアで、チームの専門職ではありません。受診を拒んでいる段階で一緒に訪ねても、専門的な見立てにはつながりません。
- 2Dさんが一人の時間を持てるように自宅を訪問し,夫の利用可能な認知症カフェの案内を手渡す。:認知症カフェの案内は介護者の支えとして意味がありますが、夫は受診を拒み、状態の見立てもまだない段階です。チームとして先に行うべき専門的な評価と方針づくりが抜けています。
- 4夫の生活の様子を聞くために,介護福祉士とCが自宅を訪問する。:夫の生活の様子は、来所したDさんからすでに詳しく聞けています。医学的な見立てを欠いたまま介護職と訪問しても、受診拒否にどう向き合うかという方針は立てられません。
- 5Dさんへの暴力回避のために,保健所の職員とCが自宅を訪問する。:暴力の訴えはありますが、Dさんの身を急いで守るべき切迫した場面とまでは事例から読み取れません。保健所の職員を伴う訪問より先に、夫の状態について専門的な見立てを得ることが必要です。
出典:第36回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題116。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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