第37回 問題89
高齢者福祉
事例を読んで,A介護老人保健施設の支援相談員であるB職員(社会福祉士)が,通所介護事業所のC生活相談員から受けた情報提供の依頼に回答するにあたり,A施設に勤務する他の職員に専門的な意見を求める際,最も適切な職種を1つ選びなさい。
〔事 例〕
入所後2か月が経過したDさん(81歳,要介護2)は「介護サービスを利用しながら家族と自宅で暮らしたい」と希望しており,施設内で家庭復帰支援に向けたサービス担当者会議が開かれた。Dさんは脳梗塞後遺症で左片麻痺があるが,屋内での日常生活動作は補助具などを使っておおむね自立している。しかし,球麻痺によって食事や飲水の際にむせ込むことがある。Bは,数日前にDさんが退所後に利用を希望している通所介護のCに連絡をとった際「Dさんの嚥下に関する訓練の状況や誤嚥を防ぐ適切な方法を知りたい」と情報提供の依頼を受けており,その情報をこのサービス担当者会議の場で取得しようと考えた。
- 1看護師
- 2介護福祉士
- 3薬剤師
- 4作業療法士
- 5言語聴覚士
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✓ これが正解5言語聴覚士
解説
嚥下訓練と誤嚥予防の方法を聞く相手は、言語聴覚士が最も適しています。
この事例は、介護老人保健施設から自宅に戻る準備として、退所後に使う通所介護へ引き継ぐ情報を集める場面です。決め手は、通所介護のC生活相談員が求めたのが、Dさんの嚥下に関する訓練の状況と、誤嚥を防ぐ適切な方法だという点です。
Dさんは左片麻痺がありますが、屋内での日常生活動作はおおむね自立しています。課題は球麻痺によるむせ込み、つまり飲み込みの機能です。言語聴覚士は、話す・聞くことの訓練に加えて、摂食や嚥下の機能を評価し訓練する専門職で、介護老人保健施設のリハビリテーションを担う職種の一つです。どのような訓練をしてきたか、食事の形や姿勢などで誤嚥をどう防ぐかを最も具体的に説明できるのは言語聴覚士です。
B支援相談員の役割は、自分で専門的な判断を下すことではなく、依頼の中身に合う専門職から意見を取りつけ、退所後の事業所へ確実につなぐことです。依頼の言葉を手がかりに、誰の専門性が最も合うかを考えるのが連携の基本です。
見分け方として、飲み込みや言葉の課題は言語聴覚士、手先や生活動作の工夫は作業療法士、と機能と職種を結びつけて覚えると迷いません。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1看護師:看護師は、健康状態の観察や医療的な処置の面から、むせ込みによる体調の変化などを伝えることはできます。ただし依頼は嚥下訓練の状況と誤嚥を防ぐ方法なので、訓練を担当する職種に聞くほうが的確です。
- 2介護福祉士:介護福祉士は、日々の食事介助の場面でのDさんの様子を伝えることができますが、嚥下機能を評価して訓練を組み立てる立場ではありません。専門的な意見を求める相手としては、依頼の中身により合う職種がいます。
- 3薬剤師:薬剤師は、薬の効き目や飲み合わせ、服薬のしかたについて助言する専門職です。薬を飲みやすくする工夫は伝えられても、嚥下訓練の経過や誤嚥を防ぐ食事の方法を説明する立場ではありません。
- 4作業療法士:作業療法士は、食事や着替えなどの生活動作や手先の動きの訓練を担い、自助具の工夫などを得意とします。Dさんの課題は球麻痺による飲み込みにあるので、最も適した相談相手とはいえません。
出典:第37回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題89。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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