第36回 問題37
地域福祉と包括的支援体制
事例を読んで,生活困窮者自立相談支援事業のB相談支援員(社会福祉士)の支援方針として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Cさん(60歳)は,一人暮らしで猫を多頭飼育している。以前は近所付き合いがあったが今はなく,家はいわゆるごみ屋敷の状態である。B相談支援員は,近隣住民から苦情が出ていると民生委員から相談を受けた。そこでBがCさん宅を複数回訪問すると,Cさんは猫を可愛がっており,餌代がかかるため,自身の食事代を切り詰めて生活していることが分かった。Cさんは,今の生活で困っていることは特になく,近隣の苦情にどのように対応すればよいか分からない,と言っている。
- 1Cさんの衛生環境改善のため,市の清掃局にごみを強制的に回収してもらうことにする。
- 2Cさんの健康のため,保健所に連絡をして猫を引き取ってもらうことにする。
- 3Cさんの地域とのつながりを回復するため,苦情を言う住民も含めて,今後の関わり方を検討することにする。
- 4Cさんの主体性を尊重するため,Cさんに積極的に関わることを控えることにする。
- 5Cさんと地域とのコンフリクトを避けるため,引っ越しのあっせんを行うことにする。
答えと解説を見る
✓ これが正解3Cさんの地域とのつながりを回復するため,苦情を言う住民も含めて,今後の関わり方を検討することにする。
解説
苦情を言う住民も含め、Cさんと地域の今後の関わり方を検討します。
この事例は、民生委員からの相談をきっかけに、相談支援員が自宅を複数回訪ねて関係をつくりながら生活の状況を確かめた(アウトリーチとアセスメント)うえで、支援の方針を立てる場面です。決め手は、Cさんが今の生活で困っていることは特にないと言いつつ、近隣の苦情にどう対応すればよいか分からないと話している点と、以前は近所付き合いがあったという点です。
Cさんは猫を可愛がっており、猫との暮らしを大切にしています。一方で、ごみ屋敷の状態や、餌代のために自分の食事を切り詰めている様子からは、生活や健康の面での課題もうかがえます。本人が困りごととして語っているのは近隣との関係なので、ここを入り口に、本人の思いを尊重しながら地域との関係を結び直していくことが、生活困窮者自立相談支援事業の相談支援員として適切な方針です。苦情を言っている住民も含めて今後の関わり方を一緒に検討することで、対立を和らげ、Cさんが地域の中で暮らし続けるための理解者や見守りの輪をつくることにつながります。したがってこの方針が最も適切です。
ごみの強制回収や猫の引き取り、引っ越しのあっせんは、本人の意向を置き去りにした対応です。関わりを控えることは、課題を放置することになります。
見分け方は、本人が語った困りごとを出発点にし、本人と地域の双方に働きかける方針になっているかどうかで判断することです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1Cさんの衛生環境改善のため,市の清掃局にごみを強制的に回収してもらうことにする。:Cさんの同意を得ないまま、ごみを強制的に回収してもらうのは、本人の意向や生活のあり方を無視した対応です。信頼関係を損ない、根本的な解決にもつながりにくくなります。
- 2Cさんの健康のため,保健所に連絡をして猫を引き取ってもらうことにする。:Cさんは猫を可愛がっており、猫は生活の大切な支えになっています。本人の気持ちを確かめずに保健所に引き取ってもらうのは、本人の思いを置き去りにした一方的な対応です。
- 4Cさんの主体性を尊重するため,Cさんに積極的に関わることを控えることにする。:Cさんは近隣の苦情への対応に戸惑っており、食事を切り詰めるなど生活面の課題もうかがえます。主体性の尊重を理由に関わりを控えるのは、支援が必要な状況を放っておくことになります。
- 5Cさんと地域とのコンフリクトを避けるため,引っ越しのあっせんを行うことにする。:引っ越しをあっせんしても、Cさんの生活の課題や孤立は解決せず、住み慣れた地域とのつながりを断つことにもなります。本人が引っ越しを望んでいるという様子も事例にはありません。
出典:第36回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題37。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)