令和3年度 問10
その他の法令
管理費の滞納が生じたときにとられる通常の民事訴訟によらない法的手段に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1「内容証明郵便による督促」の場合は、簡便な手続であるが、消滅時効の完成猶予をさせる催告としての効力は生じない。
- 2「支払督促」による場合は、簡易裁判所に申し立てることにより書記官が支払を命ずる簡略な手続であるが、債務者から異議申立てがなされると通常の訴訟に移行してしまう。
- 3「調停」による場合は、弁護士等の専門家に依頼することはできないが、手続が訴訟に比べ簡明であり、調停委員の意見には強制力があることから、紛争が早期に解決される。
- 4「少額訴訟」による場合は、通常訴訟に比べ、少ない経済的負担で迅速かつ効果的に解決することができるが、訴訟の目的の価額が60万円以下に制限されるため、滞納額が60万円を超えるときは、制限額以下に分割したとしてもこの手続を利用できない。
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✓ これが正解2「支払督促」による場合は、簡易裁判所に申し立てることにより書記官が支払を命ずる簡略な手続であるが、債務者から異議申立てがなされると通常の訴訟に移行してしまう。
解説
支払督促は書記官が発する手続で、督促異議があると訴訟に移行します。
この問は、滞納管理費を回収するための、通常の民事訴訟によらない手段(内容証明郵便による督促・支払督促・調停・少額訴訟)の特徴を比べるものです。民法の時効の決まりと、民事訴訟法の支払督促・少額訴訟の定めで判断します。
適切なのは支払督促についての記述です。民事訴訟法は、金銭などの一定の数量の給付を目的とする請求について、裁判所書記官が債権者の申立てにより支払督促を発することができるとし(第382条)、その申立ては簡易裁判所の裁判所書記官に対してすると定めています(第383条)。また、適法な督促異議の申立てがあったときは、その請求について訴えの提起があったものとみなされ、通常の訴訟に移行します(第395条)。
ほかの記述はそれぞれ誤りを含みます。内容証明郵便による督促は民法上の催告に当たり、催告があったときは、その時から6箇月を経過するまでの間は時効は完成しません(民法第150条第1項)。調停は当事者の話合いと合意で解決を目指す手続で、弁護士に依頼して進めることもでき、調停委員の意見に従わせる強制力はありません。少額訴訟は訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の請求に使えます(民事訴訟法第368条第1項)が、滞納額を60万円以下に分けて請求する方法も考えられるとされ、一律に利用できないとは言えません。
書記官が出すのが支払督促、異議が出れば訴訟へ、と手続の流れで覚えます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1「内容証明郵便による督促」の場合は、簡便…:内容証明郵便で支払を求めることは、民法上の催告に当たります。催告があれば、その時から6箇月を経過するまで時効の完成が猶予されるので、効力が生じないとする記述は誤りです。
- 3「調停」による場合は、弁護士等の専門家に…:調停は話合いで合意を目指す手続で、弁護士に依頼して進めることもできます。調停委員の意見に従う義務はなく、合意できなければ成立しないので、強制力があるとする記述は誤りです。
- 4「少額訴訟」による場合は、通常訴訟に比べ…:少額訴訟は60万円以下の金銭の請求が対象ですが、滞納額を60万円以下に区切って請求する方法も考えられるとされています。分けても一切使えないと言い切る点が誤りです。
出典:令和3年度 管理業務主任者試験(一般社団法人マンション管理業協会)問10
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