第111回 午後 問48
公衆衛生看護活動展開論
麻しんに関する問題
次の文を読み48~50の問いに答えよ。
Aさん(42歳、男性)は2週間の海外旅行から9月1日に帰国した。滞在地では麻しんが流行していたが、帰国時のAさんには特に症状がなく、翌日から5日間、会社へ出勤した。帰国6日後に、起床時から発熱がみられたため近くのB診療所を受診し、解熱薬等の処方を受けた。その2日後に全身の発疹が出現したので再度B診療所を受診したところ、麻しんが疑われたためC病院に紹介され入院となった。C病院の医師は入院時点までのAさんの症状および経過から、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉に基づき麻しんの発生届を管轄保健所へ提出した。
このときの保健所の対応で適切なのはどれか。
- 1麻しん患者の発生を直ちに公表する。
- 2Aさんに麻しんウイルスのPCR検査を行う。
- 3AさんのC病院への入院について入院勧告手続きを行う。
- 4Aさんの滞在国に同時期に滞在した無症状の帰国者に外出自粛を指示する。
- 5Aさんの同居者には過去の罹患歴・接種歴に関わらず麻しん含有ワクチンの緊急接種を勧奨する。
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✓ これが正解2Aさんに麻しんウイルスのPCR検査を行う。
解説
麻しんの届出があれば、保健所は原則全例でPCR検査などを行います。
麻しんは感染症法の5類感染症で、全数の届出の対象です。麻しんに関する特定感染症予防指針は、麻しんの患者が一例でも発生したら積極的疫学調査とまん延防止策を迅速に行うこと、また原則として全例にウイルス遺伝子検査(PCR検査など)を行うことを求めています。臨床症状だけでは発疹の出る他の病気と区別しにくいため、検査で診断を確かめ、ウイルスの遺伝子型を調べて感染経路の推定にも役立てます。
届出を受けた保健所は、Aさんの検体を地方衛生研究所などへ送り、麻しんウイルスのPCR検査を行います。これが適切な対応です。ほかの肢は、診断の確定前の公表、5類感染症には用いない措置、法の根拠のない広い範囲への指示、対象を絞らない緊急接種で、いずれも届出直後の保健所の対応として合いません。
麻しんは1例でも原則全例に遺伝子検査と積極的疫学調査、と覚えておくと、届出直後の保健所の対応を選べます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1麻しん患者の発生を直ちに公表する。:麻しん患者の発生をすぐに公表すると、まだ検査で診断が確定していない段階で情報が広がり、混乱を招くおそれがあります。公表は、検査で確定させ接触者の範囲などを整理したうえで、必要に応じて行います。
- 3AさんのC病院への入院について入院勧告手続きを行う。:入院勧告は、1類感染症や2類感染症などのまん延を防ぐために感染症法に基づいて行う措置です。麻しんは5類感染症で入院勧告の対象ではなく、Aさんは医療上の必要から入院しています。
- 4Aさんの滞在国に同時期に滞在した無症状の帰国者に外出自粛を指示する。:Aさんと同じ国に同じ時期に滞在したというだけの無症状の人に、保健所が外出の自粛を指示する根拠はありません。対象は、感染可能期間にAさんと接触した人に絞って健康観察などを行います。
- 5Aさんの同居者には過去の罹患歴・接種歴に関わらず麻しん含有ワクチンの緊急接種を勧奨する。:接触後72時間以内の緊急の予防接種は、麻しんにかかったことがなく、ワクチンの接種歴もない感受性者に検討するものです。すでに免疫がある人まで、罹患歴や接種歴に関係なく勧めるのは適切ではありません。
出典:第111回 保健師国家試験 午後(厚生労働省)問48(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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