第109回 午後 問16
公衆衛生看護活動展開論
腸管出血性大腸菌に関する問題
A事業所の社員食堂で毎月行う調理従事者20名の便の細菌検査で、Bさんから腸管出血性大腸菌が検出された。Bさんは特に症状がないが、受診した診療所の医師から腸管出血性大腸菌の無症状病原体保有者と診断された。
この診断後の対応で正しいのはどれか。
- 1Bさんは感染症指定医療機関に入院する必要がある。
- 22類感染症として受診した診療所の医師から発生届が提出される。
- 3社員食堂はBさんが職場に復帰できるまで業務を休止しなければならない。
- 4Bさんは病原体を保有しなくなるまで飲食物に直接触れる業務への就業が制限される。
答えと解説を見る
✓ これが正解4Bさんは病原体を保有しなくなるまで飲食物に直接触れる業務への就業が制限される。
解説
無症状病原体保有者でも、飲食物に直接触れる業務への就業が制限されます。
腸管出血性大腸菌感染症は、感染症法で三類感染症に分類されています。三類感染症の考え方は、入院の必要まではないものの、特定の職業への就業によって集団発生を起こしうる感染症として、就業制限の対象にすることです。症状がなくても便に菌が出ている無症状病原体保有者も対象に含まれます。
感染症法第18条では、三類感染症の患者や無症状病原体保有者について、都道府県知事が書面で通知し、通知を受けた人は、感染症をまん延させるおそれがある業務に、そのおそれがなくなるまで従事してはならないと定めています。腸管出血性大腸菌感染症では、飲食物に直接触れる業務が対象です。そのため、Bさんは病原体を保有しなくなるまで飲食物に直接触れる業務への就業が制限されます。
ほかの説明を見ると、入院の勧告は一類・二類などの感染症で行われるもので、三類では行われません。医師は三類感染症として届け出ます。食堂の業務の休止までは定められていません。三類は入院なし・就業制限あり、と覚えておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1Bさんは感染症指定医療機関に入院する必要がある。:感染症指定医療機関への入院の勧告は、一類感染症や二類感染症などで行われる措置です。三類感染症の腸管出血性大腸菌感染症では入院は求められず、無症状のBさんが入院する必要はありません。
- 22類感染症として受診した診療所の医師から発生届が提出される。:腸管出血性大腸菌感染症は、コレラや細菌性赤痢などと同じ三類感染症に分類されています。診断した医師は三類感染症として届け出るので、2類感染症として届け出るという説明は誤りです。
- 3社員食堂はBさんが職場に復帰できるまで業務を休止しなければならない。:法律で制限されるのは菌を保有するBさん本人の飲食物に直接触れる業務への従事であり、社員食堂全体の業務休止までは求められていません。他の調理従事者は通常どおり業務を続けられます。
出典:第109回 保健師国家試験 午後(厚生労働省)問16(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)