令和7年度 午後の部 問7
民事執行法
民事執行法に関する問題
民事執行に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
なお、少額訴訟債権執行については考慮しないものとする。
ア 債権に対する強制執行については、債権者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。
イ 債権に対する強制執行による差押えの効力は、差押命令が第三債務者に送達された時に生ずる。
ウ 差押えに係る貸金債権について借用証書があるときは、債務者は、差押債権者に対し、その借用証書を引き渡さなければならない。
エ 債務者の預金債権を差し押さえた債権者は、第三債務者に対して差押命令が送達された日から法定の期間が経過したときは、その預金債権を取り立てることができる。
オ 執行裁判所は、債務者の申立てにより、債務者及び債権者の生活の状況その他の事情を考慮して、差押命令の全部又は一部を取り消すことができる。
- 1アウ
- 2アエ
- 3イエ
- 4イオ
- 5ウオ
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✓ これが正解2アエ
解説
アとエが誤り。管轄は債務者の普通裁判籍、取立ての起算は債務者への送達
債権執行(債務者が第三者に対して持つ債権を差し押さえる強制執行)について、民事執行法の条文で判断する問題です。
アは誤りです。民事執行法第144条第1項は、債権執行については債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が執行裁判所として管轄すると定めています。基準は債権者ではなく債務者の側です。イは正しい記述です。差押えの効力は、差押命令が第三債務者(差し押さえられた債権の債務者)に送達された時に生じます。第三債務者が債務者に弁済するのを止める必要があるからです。ウも正しい記述です。差し押さえた債権について借用証書などの証書があるときは、債務者は差押債権者にその証書を引き渡さなければなりません。
エは誤りです。同法第155条第1項は、金銭債権を差し押さえた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から1週間を経過したときに取り立てることができると定めています。起算点は第三債務者への送達ではなく、債務者への送達です。債務者に執行抗告などの機会を与えるためです。オは正しい記述です。執行裁判所は、債務者の申立てにより、債務者及び債権者の生活の状況その他の事情を考慮して、差押命令の全部又は一部を取り消すことができます。
したがって、誤っているのはアとエです。効力発生は第三債務者への送達、取立ての期間は債務者への送達から、と二つの送達を分けて覚えると混乱しません。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アウ:アは誤りですが、ウは正しい記述です。差し押さえた貸金債権に借用証書があれば、取立てに役立つよう、債務者はそれを差押債権者に渡す義務を負います。
- 3イエ:エは誤りですが、イは正しい記述です。第三債務者が知らずに弁済してしまうのを防ぐため、差押えの効力は差押命令が第三債務者に届いた時に生じます。
- 4イオ:イとオはどちらも正しい記述です。オは、債務者の申立てを受けて、双方の生活の状況などを考え合わせ、差押命令を全部又は一部取り消せる差押禁止債権の範囲変更の仕組みです。
- 5ウオ:ウとオはどちらも正しい記述です。借用証書の引渡し義務も、生活状況を考慮した差押命令の取消しも、民事執行法が定める債権執行のルールどおりです。
出典:令和7年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問7(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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