令和8年度 午後の部 問7
民事執行法
執行文に関する問題
民事執行に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 執行証書が書面をもって作成されている場合には、当該執行証書についての執行文は、申立てにより、当該執行証書の原本を保存する公証人が付与する。
イ 執行文は、執行文の付された債務名義の正本が滅失したときであっても、再度付与することができない。
ウ 免責許可の決定が確定した債務者に対して確定した破産債権を有する債権者は、当該破産債権が非免責債権に該当するときは、当該破産債権が記載された破産債権者表について執行文付与の訴えを提起することができる。
エ 担保を立てて仮執行をすることができる旨の宣言を付した判決による強制執行は、債権者が担保を立てたことを証する文書を提出したときに限り、開始することができる。
オ 執行文の付与の申立てに関する裁判所書記官の処分に対する異議の申立てを却下した裁判に対しては、不服を申し立てることができる。
- 1アイ
- 2アエ
- 3イウ
- 4ウオ
- 5エオ
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✓ これが正解2アエ
解説
アとエが正しく、イ・オは条文と違い、ウは判例と逆
執行文の付与と強制執行の開始の要件について、民事執行法の規定と判例で判断する問題です。
アは正しい記述です。第26条第1項は、執行文は申立てにより、執行証書についてはその原本(電磁的記録で作成されたものはその電磁的記録)を保存する公証人が付与すると定めています。イは誤りです。第28条第1項は、執行文の付された債務名義の正本が滅失したときは、執行文を更に付与することができると定めています。ウは誤りです。判例は、免責許可の決定が確定した債務者に対し、破産債権者表に記載された債権が非免責債権に当たることを理由として執行文付与の訴えを提起することはできないとしています。執行文付与の訴えは、条件の成就や承継を証明する文書を提出できない場合のための手続であり、非免責債権かどうかを審理する場ではないからです。
エは正しい記述です。第30条第2項は、担保を立てることを強制執行の実施の条件とする債務名義による強制執行は、債権者が担保を立てたことを証する文書を提出したときに限り開始できると定めています。オは誤りです。第32条第4項は、執行文の付与等に関する異議の申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができないと定めています。
したがって、正しいのはアとエです。正本が滅失すれば執行文は再度付与でき、異議の裁判にはそれ以上の不服申立てができない、と条文の結論で押さえておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アイ:アは正しいものの、イは誤りです。債務名義の正本がなくなったときは、執行文をもう一度付与してもらうことが法律で認められています。
- 3イウ:イもウも誤りです。正本が滅失すれば再度の付与ができ、非免責債権であることを理由に破産債権者表について執行文付与の訴えを起こすことは判例で否定されています。
- 4ウオ:ウもオも誤りなので、正しいものの組合せになりません。破産債権者表に非免責債権だとして執行文を付けさせる訴えは許されず、執行文の異議を退けた裁判を上の裁判所で争う道もありません。
- 5エオ:エは正しいものの、オは誤りです。異議を却下した裁判を含め、執行文の付与等に関する異議の申立てについての裁判は、それ以上争えないと条文で定められています。
出典:令和8年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問7(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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