第38回 問題120
ソーシャルワークの理論と方法(専門)
事例を読んで,次の記述のうち,A町地域創生課のB職員(社会福祉士)の相談に対し,A町として考えた対応策として,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
A町は昔から地域特有の農作物の生産が盛んな地域であったが,近年は農業者の高齢化や後継者不足により耕作放棄地が増え,農業の衰退が地域課題となっている。A町では相談窓口の設置や,新規就農者への助成事業を実施したりしているが,なかなか課題の解決にはつながっていない。
Bは,新しい農福連携を視野に入れた地域課題の解決についてA町農業振興課に相談した。
- 1人材確保が喫緊の課題のため,公共職業安定所(ハローワーク)に求人申し込みをする。
- 2A町や近隣の市町村のボランティアセンターに依頼して,農業ボランティア登録の強化をお願いする。
- 3農業者と就労継続支援事業所や小中学校の協力を得て,農業体験プログラムを企画する。
- 4隣のC市にある特別支援学校に依頼して,農業実習を必修化してもらう。
- 5農業振興課主導で,近隣地域の飲食店に地産地消への協力を求める。
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✓ これが正解2A町や近隣の市町村のボランティアセンターに依頼して,農業ボランティア登録の強化をお願いする。
✓ これが正解3農業者と就労継続支援事業所や小中学校の協力を得て,農業体験プログラムを企画する。
解説
ボランティア登録の強化と、福祉や学校と組む農業体験の企画が農福連携に沿う。
事例の決め手は、A町の課題が、農業者の高齢化と後継者不足による耕作放棄地の増加であり、相談窓口や新規就農者への助成だけでは解決につながっていないことです。そこで地域創生課のBは、新しい農福連携、つまり農業と福祉が手を組んで、農業の担い手を広げ、障害のある人などの社会参加や就労の場もつくる取組を視野に、農業振興課に相談しました。2つ選ぶ問です。
1つめに適切なのは、A町や近隣の市町村のボランティアセンターに依頼して、農業ボランティアの登録の強化をお願いする対策です。社会福祉協議会などが運営するボランティアセンターの仕組みを生かし、地域の人が農業に関わる入口を広げるもので、福祉の資源と農業をつなぐ取組です。
2つめに適切なのは、農業者と就労継続支援事業所や小中学校の協力を得て、農業体験プログラムを企画する対策です。障害のある人が働く事業所や子どもたちが農業に触れる機会をつくり、将来の担い手や地域の関わり手を育てることにつながります。福祉・教育・農業の関係者がそれぞれの立場で協力する点も、地域課題の解決に合っています。
一方、公共職業安定所への求人申し込みは、従来の人材確保の手段で福祉との連携を含みません。他市の特別支援学校に必修化を求めるのは、町が決められることではなく、生徒の意向も無視しています。飲食店への地産地消の協力は農業振興の取組で、福祉との連携を含んでいません。農業と福祉が双方向に役立つ形か、という視点で見分けます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1人材確保が喫緊の課題のため,公共職業安定所(ハローワーク)に求人申し込みをする。:公共職業安定所への求人申し込みは、これまでも行われてきた一般的な人材確保の方法です。福祉の分野と手を組む要素がなく、新しい農福連携を視野に入れた対策とはいえません。
- 4隣のC市にある特別支援学校に依頼して,農業実習を必修化してもらう。:特別支援学校の教育課程は学校や設置者が決めるもので、A町が隣の市の学校に農業実習の必修化を求めることはできません。生徒の希望を無視して農業の人手不足を補おうとする点でも適切ではありません。
- 5農業振興課主導で,近隣地域の飲食店に地産地消への協力を求める。:飲食店に地産地消への協力を求めることは、農産物の販路を広げる農業振興の取組です。福祉の関係者や障害のある人などの参加を含んでおらず、農福連携による地域課題の解決にはなっていません。
出典:第38回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題120。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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