第38回 問題68
ソーシャルワークの基盤と専門職
事例を読んで,次のうち,利用者の自立を支援する観点から,両親へのこの段階での応答として,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
就労継続支援事業所のA生活支援員(社会福祉士)のところに,発達障害があるBさん(19歳)の両親が相談に訪れた。話によると,Bさんは他人に関心がなく,集団行動も苦手であったが,2か月前に通所サービスの利用を始めて,他の利用者さんの話を聞いたようで「一人暮らしをしたい。みんな毎日楽しいと言っている」と羨んでいる。人付き合いが苦手なBさんは,帰宅後は一人ゲームに没頭するなど生活がパターン化しており,「自分の身の回りのことを自分でできていないのだから難しい」と諭すと苛立ってかんしゃくを起こす。いずれは自立してほしいと思うが,通所を始めたばかりであり,どうすればよいか悩んでいるとのことであった。
- 1「一人暮らしは難しいという現実にBさんが直面できるようにしましょう」
- 2「Bさんができることや好きなこともお話していただけますか」
- 3「現実には,Bさんは将来,一人で生活することは難しいと思うのですが」
- 4「Bさんがかんしゃくを起こした時にはどのように対応されていますか」
- 5「Bさんの生い立ちについて聞かせてもらえますか」
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✓ これが正解2「Bさんができることや好きなこともお話していただけますか」
✓ これが正解4「Bさんがかんしゃくを起こした時にはどのように対応されていますか」
解説
Bさんのできることや好きなこと、かんしゃく時の対応を両親に尋ねます。
この事例の決め手は、相談に来たのがBさん本人ではなく両親で、2か月前に通所を始めたばかりという段階だという点です。Bさんは一人暮らしをしたいと言い、両親はできていないことを挙げて諭すとかんしゃくを起こされ、どうすればよいか悩んでいます。支援の段階でいえば、情報を集めて状況を理解するアセスメントの入口にあたり、利用者の自立を支える観点で両親に何を尋ねるかが問われています。この問は適切なものを2つ選ぶ問です。
1つ目は、Bさんができることや好きなことを話してもらう応答です。両親の話は、Bさんができていないことに向きがちです。できることや好きなことを尋ねると、Bさんの強み(ストレングス)や意欲の手がかりが見え、一人暮らしに向けて何から始められるかを考える材料になります。両親にとっても、Bさんを別の面から見直すきっかけになります。
2つ目は、Bさんがかんしゃくを起こしたときにどのように対応しているかを尋ねる応答です。家庭で実際に起きている場面と、両親のかかわり方を具体的に知ることで、Bさんの特性に合った伝え方や環境の工夫を一緒に考えることができます。両親の苦労を受け止めることにもつながります。
この段階では、ワーカーの見通しを伝えることよりも、本人の強みと家族の現在の対応を具体的に聞き取ることを優先する、と覚えておくと選びやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1「一人暮らしは難しいという現実にBさんが直面できるようにしましょう」:一人暮らしは難しいという現実にBさんを向き合わせようという応答は、両親の見方に沿ってBさんの希望を最初から否定するものです。本人の思いを理解する前に結論を示しており、自立を支える観点に合いません。
- 3「現実には,Bさんは将来,一人で生活することは難しいと思うのですが」:将来一人で生活することは難しいと思う、というワーカーの見立てを伝える応答は、十分な情報がない段階での決めつけです。Bさんの可能性を閉ざし、両親の不安を強めるおそれもあります。
- 5「Bさんの生い立ちについて聞かせてもらえますか」:生い立ちを尋ねることにも意味はありますが、両親の相談の中心は、今の一人暮らしの希望とかんしゃくへの対応です。この段階で最初に聞くこととしては焦点がずれています。
出典:第38回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題68。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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