第38回 問題70
ソーシャルワークの理論と方法
事例を読んで,相談支援事業所のB相談支援専門員(社会福祉士)がCさんへの再アセスメントで行うことに関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
Cさん(27歳,男性)は,19歳で統合失調症を発症し2か月入院した。退院後は,デイケアやグループホームを活用して生活訓練を行ってきた。2年前からは,日中は週5日間,就労継続支援A型事業所で,清掃作業とチラシの折り込み作業を行っている。現在は症状も安定し,服薬管理も問題なく,事業所の給料と年金で一人暮らしをしている。Cさんは,引き続き,相談支援計画を作成しているBに「A型事業所の職員を見ていて,正社員の仕事に就きたいと思うようになった」と相談してきた。
- 1ピアスタッフとしてA型事業所で働くことの意思の有無を確認する。
- 2正社員での就労に向けた課題を確認する。
- 3A型事業所で働くメンバーにCさんの転職の可能性を確認する。
- 4正社員での就労に向けた具体的な手段と手続きを決めて,Cさんに確認する。
- 5就労意欲の高まりと,現実認識の程度を確認する。
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✓ これが正解2正社員での就労に向けた課題を確認する。
✓ これが正解5就労意欲の高まりと,現実認識の程度を確認する。
解説
再アセスメントでは、正社員就労への課題と、意欲や現実認識の程度を確かめます。
この事例の決め手は、症状が安定し一人暮らしを続けているCさんが、A型事業所の職員を見て正社員の仕事に就きたいと思うようになった、とB相談支援専門員に相談してきた点です。本人の希望という新しい情報が出てきたため、今の計画を見直す前提として状況を捉え直す再アセスメントの段階にあたります。この段階で何を確かめるかが問われています。この問は適切なものを2つ選ぶ問です。
1つ目は、正社員での就労に向けた課題を確認することです。働く時間や仕事の内容、体調の管理、通勤、収入と年金の関係など、正社員として働くために何が課題になるかを本人と一緒に整理することで、次の計画の目標や支援の内容を考える土台ができます。
2つ目は、就労意欲の高まりと、現実認識の程度を確認することです。Cさんの希望がどのくらい強く、どんな理由から生まれたのか、正社員の仕事について本人がどのように理解しているのかを知ることで、希望を尊重しつつ、無理のない道筋を一緒に描けます。
アセスメントの段階は情報を集めて課題と本人の思いを明らかにする段階、計画の段階は手段と手続を決める段階、と区別しておくと、段階を飛び越えた対応を見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1ピアスタッフとしてA型事業所で働くことの意思の有無を確認する。:ピアスタッフとしてA型事業所で働く意思を確かめることは、本人が言っていない進路をワーカーの側から持ち出すことになります。正社員の仕事に就きたいというCさんの希望を捉え直す再アセスメントの焦点から外れています。
- 3A型事業所で働くメンバーにCさんの転職の可能性を確認する。:A型事業所で一緒に働くメンバーに転職の可能性を尋ねることは、本人の同意のないまま個人の情報を広めることになり、秘密の保持の点で問題があります。本人の状況を知る方法としても適切ではありません。
- 4正社員での就労に向けた具体的な手段と手続きを決めて,Cさんに確認する。:具体的な手段と手続を決めてから本人に確認する対応は、アセスメントを飛ばして計画づくりに進んでおり、しかも支援者が先に決めてしまっています。本人が参加して決めるという原則にも合いません。
出典:第38回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題70。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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