第37回 問題120
ソーシャルワークの理論と方法(専門)
事例を読んで,A町社会福祉協議会のB職員(社会福祉士)の総合的かつ包括的支援に基づく次の記述のうち,最初の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
A町では,大規模な工業団地が開発された結果,海外から来た労働者とその家族が増加傾向にある。街中を歩く外国人家族の姿が日常的となった。そのような中,民生委員から,Bに「慣れない文化に戸惑う外国籍家族の存在が顕著であることや,また一方で,在留外国人との交流を望んでいるものの,どのようにすればよいか困惑している地域住民の声が多く聞かれる」と情報提供があった。
- 1教育委員会に外国籍の子どもの生活状況の改善策を講じるよう要望する。
- 2在留外国人も加え,学校,自治会等がこの問題を共有化するための懇談の場を企画する。
- 3外国の文化や習慣について解説した日本人向けパンフレットを作成し,地域住民に配布する。
- 4企業の人事担当者に状況を説明し,問題解決を依頼する。
- 5外国籍住民と地域住民の交流の場を設け,広く参加を求める。
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✓ これが正解2在留外国人も加え,学校,自治会等がこの問題を共有化するための懇談の場を企画する。
解説
在留外国人も加え、学校や自治会と問題を共有する懇談の場を企画します。
この事例は、工業団地の開発で外国から来た労働者とその家族が増えた町で、民生委員から地域の様子について情報提供を受けた段階です。決め手は、慣れない文化に戸惑う外国籍家族がいる一方で、交流を望みながらどうすればよいか困惑している地域住民も多いという、双方の声が寄せられている点です。
総合的かつ包括的な支援では、特定の機関に問題を任せるのではなく、当事者を含む地域の多様な関係者が課題を共有し、ともに解決を考えていくことを大切にします。この段階ではまだ、外国籍家族がどのようなことに戸惑い、住民が何を望んでいるかが十分にわかっていません。そこで最初に、在留外国人自身にも加わってもらい、学校や自治会などとともに問題を共有する懇談の場を企画することが適切です。
懇談の場で双方の声を聴き合うことで、課題の中身が見えてきて、交流の場づくりや行政への要望など、次の取組を当事者と一緒に組み立てることができます。社会福祉協議会の職員は、その場づくりを支える役割を担います。
見分け方として、地域の課題への最初の対応は、当事者を含む関係者で問題を共有する場をつくること、と押さえておくと、特定の機関に任せる選択肢や一方向の取組と区別できます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1教育委員会に外国籍の子どもの生活状況の改善策を講じるよう要望する。:寄せられた情報は、外国籍家族の文化への戸惑いと、交流を望む住民の困惑で、子どもの生活状況はまだ把握されていません。課題を共有する前に教育委員会に改善策を求めるのは、最初の対応として順序が違います。
- 3外国の文化や習慣について解説した日本人向けパンフレットを作成し,地域住民に配布する。:日本人向けのパンフレットを配ることは、外国の文化を知る手がかりにはなりますが、外国籍住民が加わらない一方向の取組です。双方の戸惑いや望みを聴き合わないまま進めることになり、最初の対応には向きません。
- 4企業の人事担当者に状況を説明し,問題解決を依頼する。:企業の人事担当者は課題に関わる関係者の一人ですが、地域で起きている戸惑いや交流の課題を企業だけに任せると、住民や外国籍家族が主体的に関わる機会がなくなります。社会福祉協議会の役割としても適切ではありません。
- 5外国籍住民と地域住民の交流の場を設け,広く参加を求める。:交流の場は住民の望みにも合う取組ですが、双方が何に戸惑い、何を望んでいるかをまだ確かめていない段階です。いきなり交流会を開くより、まず関係者で課題を共有し、どのような場が必要かを一緒に考えるのが先です。
出典:第37回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題120。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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