第36回 問題96
ソーシャルワークの基盤と専門職
事例を読んで,X小学校に配置されているAスクールソーシャルワーカー(社会福祉士)が,Bさんの意思を尊重することに対する倫理的ジレンマとして,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
Aは,2学期に入ったある日,暗い顔をしているBさん(小学5年生)に声をかけた。Bさんは,初めは何も語らなかったが,一部の同級生からいじめを受けていることを少しずつ話し出した。そして,「今話していることが知られたら,ますますいじめられるようになり,学校にいづらくなる。いじめられていることは,自分が我慢すればよいので,他の人には言わないで欲しい」と思いつめたような表情で話した。
- 1クライエントの保護に関する責任
- 2別の小学校に配置されているスクールソーシャルワーカーに報告する責任
- 3学校に報告する責任
- 4保護者会に報告する責任
- 5いじめている子の保護者に対する責任
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✓ これが正解1クライエントの保護に関する責任
✓ これが正解3学校に報告する責任
解説
Bさんの意思の尊重と、保護の責任・学校への報告責任がぶつかります。
この事例は、倫理的ジレンマ、つまり守るべき複数の倫理的な責任が同時に成り立たず、どちらかを選ばざるをえない場面を読み取る問です。2つ選ぶ問です。決め手は、Bさんがいじめを受けていると打ち明けたうえで、他の人には言わないで欲しいと思いつめた表情で話したことです。Aスクールソーシャルワーカーには、クライエントであるBさんの意思を尊重し、秘密を守る責任があります。
しかし、いじめはBさんの心身の安全を脅かすおそれがあり、Bさんの安全を守るクライエントの保護に関する責任も同時に負っています。また、Aは学校に配置された職員として、いじめの相談を受けた場合には学校に知らせ、学校全体で対応につなげる責任があります。いじめ防止対策推進法も、児童等から相談を受けた学校の教職員などが、いじめの事実があると思われるときは学校への通報などの適切な措置をとることを定めています。
したがって、Bさんの意思の尊重とぶつかるのは、クライエントの保護に関する責任と、学校に報告する責任の2つです。実際の支援では、Bさんに報告の必要性を丁寧に説明し、Bさんが不利益を受けない方法を一緒に考えることになります。見分け方は、ジレンマの相手方は、Aが職務上本当に負っている責任かどうかで判断することです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2別の小学校に配置されているスクールソーシャルワーカーに報告する責任:別の小学校に配置されているスクールソーシャルワーカーは、Bさんの件に関わる立場になく、Aがその人に報告する職務上の責任はありません。ジレンマの相手方にはなりません。
- 4保護者会に報告する責任:保護者会に報告すると、Bさんがいじめを受けていることが多くの保護者に知られ、Bさんの不安がまさに現実になります。Aにそのような報告をする責任はありません。
- 5いじめている子の保護者に対する責任:いじめている子の保護者への対応は、学校が事実を確かめたうえで組織として行うものです。Aが直接その保護者に責任を負い、Bさんの意思とぶつかる構図にはなっていません。
出典:第36回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題96。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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