第37回 問題66
ソーシャルワークの基盤と専門職
事例を読んで,A社会福祉士の発言の基盤となっている考え方を提示した人物として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
地域活動支援センターで指導員として勤務するAが,地域自立支援協議会の実務者会議に出席したところ,管轄地域内における今後の生活支援の方向性を問われた。そのため,日頃の相談支援活動を踏まえて「私は,障害のある方々の様々な活動が価値ある役割として,社会に認められていくための取組を,私たちはこれからも続けていくことが大切だと思います」と発言し,出席者から賛同を得た。
- 1バンク-ミケルセン(Bank-Mikkelsen, N.)
- 2ニィリエ(Nirje, B.)
- 3ソロモン(Solomon, B.)
- 4ヴォルフェンスベルガー(Wolfensberger, W.)
- 5バンクス(Banks, S.)
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✓ これが正解4ヴォルフェンスベルガー(Wolfensberger, W.)
解説
価値ある社会的役割を重んじる考え方は、ヴォルフェンスベルガーが示しました。
事例の決め手は、A社会福祉士の発言の中の、障害のある方々の様々な活動が価値ある役割として社会に認められていくための取組、という言葉です。ここには、障害のある人が社会の中で価値のある役割を担い、その役割が周囲から認められることを重んじる考え方が表れています。
この考え方を理論として示したのが、アメリカで活動したヴォルフェンスベルガーです。彼は北欧で生まれたノーマライゼーションの考え方を理論的に整理し直し、社会から価値を低く見られやすい人々が、社会的に価値のある役割を獲得し、それを保てるよう支援することをめざすソーシャルロールバロリゼーション(社会的役割の価値の向上)を提唱しました。価値ある役割として社会に認められる、という事例の言葉はこの考え方そのものなので、ヴォルフェンスベルガーが最も適切です。
ほかの人物も、障害のある人や抑圧された人々の支援に関わる考え方で知られています。見分け方は、ノーマライゼーションの系譜を、バンク-ミケルセン(理念の提唱)、ニィリエ(原理の整理)、ヴォルフェンスベルガー(社会的役割の重視)の順に並べて覚え、エンパワメントや倫理の論者と区別することです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1バンク-ミケルセン(Bank-Mikkelsen, N.):バンク-ミケルセンは、デンマークの1959年法にノーマライゼーションの理念を盛り込み、ノーマライゼーションの父と呼ばれる人物です。障害のある人が普通の生活条件で暮らすことを重んじましたが、社会的役割の考え方を示した人物ではありません。
- 2ニィリエ(Nirje, B.):ニィリエは、スウェーデンでノーマライゼーションの原理を、1日・1週間・1年のノーマルなリズムなど8つの原理に整理した人物です。生活条件の整備に焦点があり、社会的役割の価値づけを中心に据えた理論ではありません。
- 3ソロモン(Solomon, B.):ソロモンは、抑圧されてきた黒人のコミュニティへの支援を通して、ソーシャルワークにおけるエンパワメントの考え方を広めた人物です。無力な状態からの力の回復に焦点があり、事例の発言の基盤とは異なります。
- 5バンクス(Banks, S.):バンクスは、ソーシャルワークの倫理と価値、倫理的ジレンマについて論じたことで知られる研究者です。障害のある人の社会的役割の価値づけを理論化した人物ではありません。
出典:第37回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題66。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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