第38回 問題66
ソーシャルワークの基盤と専門職
事例を読んで,次のうち,B現業員(社会福祉士)の発言の背景にある理論を提唱した人物として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
福祉事務所で生活保護担当のA現業員(社会福祉士)は,保護受給中のCさん(35歳)の就職活動をどう進めればよいか悩んでいる。うつ状態で半年前に退職し療養中だったが,今回の受診で主治医から軽労働可の診断が出た。「本人も速やかに再就職して経済的に自立したいと言っている」と先輩のBに相談した。Bは「福祉事務所の役割や生活保護の趣旨と制度の活用をCさんと共有し,Cさんが援助過程の各段階を意識しながら,仕事,収入,人間関係,療養といった問題への取り組み方を,Cさん自身が徐々に決めることができるよう働きかけてはどうか」と助言した。
- 1ハーン(Hearn, G.)
- 2スモーリー(Smalley, R.)
- 3シポリン(Siporin, M.)
- 4ヤングハズバンド(Younghusband, E.)
- 5ゴールドシュタイン(Goldstein, H.)
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✓ これが正解2スモーリー(Smalley, R.)
解説
機関の機能と援助過程の段階を生かす助言は、スモーリーの機能主義に基づきます。
この事例の決め手は、先輩のB現業員の助言の中身です。Bは、福祉事務所の役割や生活保護の趣旨と制度の活用をCさんと共有すること、Cさんが援助過程の各段階を意識しながら、仕事、収入、人間関係、療養への取り組み方を自分で少しずつ決められるよう働きかけることを勧めています。機関の機能、援助の過程の段階、本人の意志の3つを重視する考え方がどの理論かを見抜く問です。
最も適切なのは、スモーリーです。スモーリーは機能主義(機能派)の立場をとるケースワークの理論家で、援助を提供する機関がもつ機能を、クライエントとワーカーが共に生かすことを重視しました。また、援助の過程を始まり、中間、終わりの段階として捉え、それぞれの段階の意味を意識して進めること、そしてクライエント自身が成長しようとする力と意志を尊重することを説きました。事例でBが、福祉事務所の役割と生活保護制度の趣旨をまず共有し、援助過程の各段階を意識しながらCさん自身が取り組み方を決めていけるよう勧めているのは、この考え方そのものです。
機能主義は、機関の機能、援助の時間的な過程、本人の意志という3つの言葉が事例に並んでいたら思い出す、と覚えておくと、ほかの理論家と区別しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1ハーン(Hearn, G.):ハーンは、一般システム理論をソーシャルワークに取り入れようとした理論家として知られています。機関の機能と援助過程の段階を軸にするBの助言の背景にある理論とは異なります。
- 3シポリン(Siporin, M.):シポリンは、人と環境の関係を全体として捉える視点から、ソーシャルワーク実践を統合的に論じた理論家として知られています。機関の機能を生かすことを中心に据えた機能主義の理論家ではありません。
- 4ヤングハズバンド(Younghusband, E.):ヤングハズバンドは、イギリスでソーシャルワーカーの養成や地方自治体の福祉職員の在り方について報告をまとめた人物として知られています。Bの助言の背景にある援助理論を提唱した人物ではありません。
- 5ゴールドシュタイン(Goldstein, H.):ゴールドシュタインは、システム理論を基盤に、ソーシャルワークの方法を一つのまとまった枠組みで捉える統合的なアプローチを示した理論家です。機関の機能と援助の段階を軸とする機能主義とは異なります。
出典:第38回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題66。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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