第37回 問題51
地域福祉と包括的支援体制
事例を読んで,A市で重層的支援体制整備事業を所管するB職員(社会福祉士)の対応として,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
就労経験のない若者やその家族から「働きたいと思っても,長年ひきこもっていることもあり,心身の状態に合わせて働ける場所がない」との意見が集まっていた。Bは,本人達の状態に合わせた多様な就労の機会を確保することを目指して,今後の参加支援事業の実施方法について関係者と検討することとした。
- 1一般就労が事業の支援目標であるため,ハローワークの求職票の探し方を学ぶプログラムを導入する。
- 2参加支援事業の独自性を明確化するため,地域づくり事業や相談支援事業と切り離して取組を進める。
- 3本人や家族の支援ニーズを踏まえ,社会参加に向けた取組を検討するための会議を開催する。
- 4中小企業や商店街などに働きかけ,短時間就労や就労体験などの支援メニューを創出する。
- 5ひきこもりに関する参加支援は,ひきこもり地域支援センターに対応を委ねる。
答えと解説を見る
✓ これが正解3本人や家族の支援ニーズを踏まえ,社会参加に向けた取組を検討するための会議を開催する。
✓ これが正解4中小企業や商店街などに働きかけ,短時間就労や就労体験などの支援メニューを創出する。
解説
本人や家族のニーズを踏まえた検討会議と、短時間就労など多様な場の創出です。
2つ選ぶ問です。重層的支援体制整備事業の参加支援事業は、既存の制度だけでは対応しにくい人に対し、本人のニーズや状態に合わせて社会とのつながりを取り戻す支援を行う事業です。事例では、長くひきこもってきた若者やその家族から、心身の状態に合わせて働ける場所がないという声が集まっています。決め手は、Bが本人達の状態に合わせた多様な就労の機会の確保を目指していることです。
適切な一つ目は、本人や家族の支援ニーズを踏まえ、社会参加に向けた取組を検討するための会議を開催することです。参加支援は本人に合わせて場や関わり方を調整することが中心なので、当事者の声を出発点に関係者で検討する手順が欠かせません。適切な二つ目は、中小企業や商店街などに働きかけ、短時間就労や就労体験などの支援メニューを創出することです。いきなり一般就労を求めるのではなく、地域の社会資源に働きかけて段階的な参加の場を増やす方法は、参加支援事業のねらいに合っています。
参加支援事業では、既存の社会資源に本人を当てはめるのではなく、本人に合わせて地域の側に新しい参加の場を開拓していく発想が大切です。見分け方は、本人の状態に合わせる、地域の資源を開拓する、他の事業や機関とつながる、という方向の対応を選ぶことです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1一般就労が事業の支援目標であるため,ハローワークの求職票の探し方を学ぶプログラムを導入する。:参加支援事業は一般就労だけを目標とする事業ではなく、本人の状態に合わせた多様な参加の形をめざします。長くひきこもってきた若者に求職票の探し方から入るのは、集まった声とも合いません。
- 2参加支援事業の独自性を明確化するため,地域づくり事業や相談支援事業と切り離して取組を進める。:事業の柱である相談支援・参加支援・地域づくりは、互いに連動させてこそ効果が出る仕組みです。参加の場を地域づくりの取組で開拓したり、相談から対象者をつないだりできるので、切り離すのは制度の趣旨に反します。
- 5ひきこもりに関する参加支援は,ひきこもり地域支援センターに対応を委ねる。:ひきこもり地域支援センターは専門的な相談を担う機関ですが、参加支援を丸ごと委ねるのは事業を所管するBの役割の放棄になります。センターとも連携しつつ、事業として地域に参加の場をつくることが求められます。
出典:第37回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題51。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)