第38回 問題78
ソーシャルワークの理論と方法
事例を読んで,ひきこもり地域支援センターのA相談員(社会福祉士)の支援の内容に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Bさん(30歳,男性)は,2年前に人間関係に悩み仕事を辞めて以来,ひきこもるようになった。現在は,深夜にコンビニや散歩に外出する程度である。半年前からAが支援するようになり,月2回の訪問と月1回のケース会議を実施している。支援開始から3か月間は,Bさんの表情や会話量は増えていたが,最近は訪問日延期の申し出が多くなっている。先日,Bさんの母親から「部屋にこもる時間が多くなり心配です」と電話相談があったため,母親と個別面談を行った。
- 1AがBさんを訪問して話ができるように母親に依頼する。
- 2母親にBさんがセルフモニタリングができるよう助言する。
- 3母親からの情報をもとにBさんへの訪問を中止し,本人が望むまで支援を待つ。
- 4母親の情報とこれまでの記録を整理し,ケース会議で支援の見直しを提案する。
- 5母親にBさんの行動記録を依頼し,行動変化の蓄積から計画の見直しをする。
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✓ これが正解4母親の情報とこれまでの記録を整理し,ケース会議で支援の見直しを提案する。
解説
母親の情報と記録を整理し、ケース会議で支援の見直しを提案するのが適切です。
この事例の決め手は、支援開始から3か月はBさんの表情や会話量が増えていたのに、最近は訪問日延期の申し出が多くなり、母親からも部屋にこもる時間が増えて心配だと連絡が来た、という変化です。支援の段階でいえば、計画に沿った支援の様子を確かめるモニタリングの段階で、計画どおりに進んでいないことが分かった場面です。
最も適切なのは、母親から得た情報とこれまでの記録を整理し、ケース会議で支援の見直しを提案することです。母親の話と、訪問の記録に残っているBさんの様子の変化を合わせて整理すると、いつ頃から、どんな変化が起きているのかが見えてきます。そのうえで、月1回開いているケース会議に諮れば、関係者で原因を考え、訪問の頻度や方法、目標を見直すことができます。一人の判断で支援を止めたり強めたりするのではなく、情報を根拠にして、チームで計画を見直すという流れが、モニタリングから再アセスメント、計画の修正へとつながる手順になります。
モニタリングで予定どおりに進んでいないと分かったら、まず情報を整理し、チームで見直しを検討する、という順番を押さえておくと、家族に役割を押しつけたり支援を急に止めたりする対応と区別しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1AがBさんを訪問して話ができるように母親に依頼する。:母親にAが訪問して話ができるよう頼むことは、Bさんが訪問の延期を申し出ている状況で、母親を通して本人に会うよう働きかけるものです。本人の気持ちを確かめないまま、家族に調整役を負わせることになります。
- 2母親にBさんがセルフモニタリングができるよう助言する。:Bさんがセルフモニタリングできるよう母親に助言するという対応は、本人が支援から距離を置き始めた時期に、母親を介して本人の取組を求めるものです。本人との関係の変化を捉え直す手順を飛ばしています。
- 3母親からの情報をもとにBさんへの訪問を中止し,本人が望むまで支援を待つ。:訪問を中止して本人が望むまで待つことは、母親の情報だけで支援の方針を大きく変えるものです。関係が途切れて孤立が深まるおそれもあり、チームで状況を検討する前に決める対応として適切ではありません。
- 5母親にBさんの行動記録を依頼し,行動変化の蓄積から計画の見直しをする。:母親にBさんの行動の記録を頼むことは、家族に見張りの役割を負わせ、親子の関係を難しくするおそれがあります。本人や関係者と話し合わずに記録だけで計画を見直す点も、見直しの手順に合いません。
出典:第38回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題78。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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