第36回 問題39
地域福祉と包括的支援体制
事例を読んで,N市において地域福祉計画の策定を担当しているD職員(社会福祉士)が策定委員会での意見を踏まえて提案したニーズ把握の方法として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
地域福祉計画の改定時期を迎えたN市では,その見直しに向け策定委員会で協議を行った。委員の一人から,「子育て世代に向けた施策や活動が十分ではない」という提起があった。また,これに呼応して,「子育て世代といっても,様々な環境で子育てをしている人がいる」「まずは子育て中の人の生の声を実際に聞いた方がよい」といった意見に賛同が集まった。Dは,こうした声を踏まえて,どのように多様な子育て世代のニーズを把握すれば良いかについて考え,最も有効と思われる方法を策定委員会に提案した。
- 1N市の子育て支援課の職員(社会福祉士)を対象とした個別インタビュー
- 2子育て中の親のうち,世代や環境等の異なる親たちを対象としたグループインタビュー
- 3利用者支援事業の相談記録を対象とした質的な分析
- 4特定の小学校に通う子どもの保護者を対象とした座談会
- 5保育所を利用している全世帯を対象としたアンケート調査
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✓ これが正解2子育て中の親のうち,世代や環境等の異なる親たちを対象としたグループインタビュー
解説
世代や環境の異なる親へのグループインタビューが委員会の意見に合います。
この事例は、地域福祉計画を見直す際のニーズ把握の場面です。決め手は、策定委員会で賛同が集まった二つの意見です。一つは、子育て世代といっても様々な環境で子育てをしている人がいるという指摘、もう一つは、まず子育て中の人の生の声を実際に聞いた方がよいという指摘です。D職員は、この二つを同時に満たす方法を選ぶ必要があります。
世代や環境などが異なる親たちを集めたグループインタビューは、当事者である親から直接、言葉で語られる声を聞ける質的な調査の方法です。参加者をあえて多様に選べば、様々な環境での子育ての実情を一度に捉えられます。また、グループで話し合うと、ほかの参加者の発言に触発されて、一人では言葉にしにくい困りごとや願いが出てきやすいという利点もあります。地域福祉計画は住民の参加を得て作ることが大切にされており、その意味でも当事者の声を直接聞く方法は計画づくりの趣旨に合います。
見分け方は、誰の声を、どの範囲から集めるかという二つの軸です。当事者本人の声か、支援者や記録を通した間接的な情報か。対象が多様か、特定の集団に限られるか。この二つで比べると、当事者の生の声と多様性の両方を備えた方法が一つに絞れます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1N市の子育て支援課の職員(社会福祉士)を対象とした個別インタビュー:子育て支援課の職員は支援する側の立場です。職員への個別インタビューで分かるのは行政から見た課題であり、委員会が求めた子育て中の当事者自身の声を直接聞くことにはなりません。
- 3利用者支援事業の相談記録を対象とした質的な分析:相談記録は、すでに相談窓口につながった人の情報に限られ、記録した人の視点を通した間接的な資料です。窓口に来ていない多様な子育て世代の声を直接聞く方法にはなりません。
- 4特定の小学校に通う子どもの保護者を対象とした座談会:特定の小学校に通う子どもの保護者に限ると、子の年齢や地域が偏り、未就学の子を育てる親などが抜け落ちます。様々な環境で子育てをする人の声を集めるという意見に合いません。
- 5保育所を利用している全世帯を対象としたアンケート調査:保育所を使っている世帯に限ると、家庭で子育てをしている人などが対象から外れます。選択式の質問が中心のアンケートでは、生の声を実際に聞くという委員会の意見にも応えにくくなります。
出典:第36回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題39。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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