平成29年度 問1
民法
A、B及びCは、マンション(マンション管理適正化法第2条第1号に規定するものをいう。以下同じ。)の一住戸を共有しており、その持分は、Aが3分の2、BとCがそれぞれ6分の1である。この場合に関する次の記述のうち、民法、区分所有法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
- 1Aは、BとCの同意を得なくても、当該住戸について、単独で抵当権を設定できる。
- 2Cが当該住戸を単独で占有している場合に、AとBは、Cの持分が少ないからといって、Cに対して明渡しを請求できるとは限らない。
- 3Bが、自らの専有部分の共有持分を放棄したときは、その共有持分は、共用部分及び敷地のBの共有持分とともに、AとCにそれぞれの持分に応じて帰属する。
- 4Cは、当該住戸を不法占拠する第三者に対し、単独で、その明渡しを請求することができる。
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✓ これが正解1Aは、BとCの同意を得なくても、当該住戸について、単独で抵当権を設定できる。
解説
住戸全体への抵当権の設定は処分にあたり、Aだけではできません。
この問は、民法の共有の決まりと区分所有法の決まりを合わせて考えます。共有物についての行為は、保存・管理・変更(処分を含む)に分けられ、各共有者が単独でできるのは保存行為です。管理に関する事項は持分の価格の過半数で決め、変更や処分には共有者全員の同意が必要です。
住戸全体に抵当権を設定することは、共有物そのものを担保に入れる処分にあたります。Aの持分が3分の2と多くても、BとCの同意なしに住戸全体へ抵当権を設定することはできません。Aが単独でできるのは、自分の持分に抵当権を設定することまでです。よって、単独で設定できるとする記述が誤りです。
他の記述は正しい内容です。少数持分の共有者も持分に応じて住戸全体を使用でき、多数持分の共有者が当然に明渡しを求められるわけではないとするのが判例です。持分を放棄すると、その持分は他の共有者に帰属し(民法第255条)、共用部分の持分は専有部分の処分に従う(区分所有法第15条第1項)ので、共用部分や敷地の持分も一体でAとCに移ります。不法占拠者への明渡し請求は保存行為として単独でできます。
単独でできるのは保存行為、過半数で管理、全員の同意で変更・処分、と三段で整理すると見分けやすくなります。出題当時の民法には、共有物を使用している共有者がいる場合の管理の決め方は書かれていませんでした。現在は民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号、2023年4月1日施行)により、共有物を使用する共有者があるときも持分の価格の過半数で管理に関する事項を決められると明記されています(第252条第1項)。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2Cが当該住戸を単独で占有している場合に、…:多数持分の共有者でも、少数持分の共有者を当然に追い出せるわけではありません。少数持分でも持分に応じて全体を使う権原があるとするのが判例で、請求できるとは限らないとする記述は正しいといえます。
- 3Bが、自らの専有部分の共有持分を放棄した…:Bが手放した専有部分の持分はAとCのものになり、共用部分や敷地の持分も専有部分と切り離せないため一緒に移ります。AとCにそれぞれの持分に応じて帰属するとする記述は正しいといえます。
- 4Cは、当該住戸を不法占拠する第三者に対し…:不法に占拠している第三者に明渡しを求めることは、共有物の現状を守る保存行為にあたります。保存行為は各共有者がひとりでできるので、持分の少ないCでも請求でき、記述は正しい内容です。
出典:平成29年度 管理業務主任者試験(一般社団法人マンション管理業協会)問1
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