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令和8年度 午前の部 問1

憲法

労働基本権に関する問題

労働基本権に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

ア 労働基本権は、社会権として、国に対して労働者の労働基本権を保障する措置を実施すべき義務を負わせるという意味を有する。

イ 労働基本権は、自由権として、国に対して労働基本権を制限するような立法その他の国家行為を禁止するという意味を有する。

ウ 労働組合は、労働者の団結権保障の効果として、その目的を達成するために必要であり、かつ、合理的な範囲内において、その組合員に対する統制権を有する。

エ 労働組合の多数決による政治的活動に対してこれと異なる政治的思想、見解、判断等を持つ個々の組合員の協力義務を一般的に認めることは、組合員の個人としての政治的自由を侵害するものではない。

オ 非現業の国家公務員について、その争議行為及びそのあおり行為等を職務内容等の別なく一律に禁止することは、法律に勤務条件についての周到詳密な規定が設けられ、中央人事行政機関として準司法機関的性格を持つ人事院が設けられていることを踏まえても、違憲である。

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✓ これが正解5エオ

解説

エとオが誤り。政治活動への協力義務と公務員の争議禁止で判例と逆

憲法第28条が保障する労働基本権(団結権・団体交渉権・団体行動権)について、最高裁判所の判例の考え方を問う問題です。判例は、労働基本権には二つの面があるとしています。アは社会権としての面で、国に対し、労働者の権利を守る措置をとるよう求める意味をもつという記述です。イは自由権としての面で、国が労働基本権を制限する立法などをしてはならないという意味をもつという記述です。どちらも正しい内容です。

ウについて、判例は、労働組合は団結権保障の効果として、その目的を達成するために必要かつ合理的な範囲内で、組合員に対する統制権をもつとしています。ウは正しい記述です。これに対しエについて、判例は、組合が多数決で決めた政治的活動に、考えの異なる組合員の協力義務を一般的に認めることは、組合員個人の政治的自由を制約することになるとして、協力を求めることができる範囲を限っています。侵害しないと言い切るエは誤りです。

オについて、判例は、非現業の国家公務員の争議行為とそのあおり行為等を一律に禁止しても、勤務条件が法律で周到詳密に定められ、準司法機関的性格をもつ人事院という代償措置が設けられていることなどから、憲法第28条に違反しないとしています。違憲とするオは誤りです。したがって、誤っているのはエとオで、その組合せが正解です。

統制権そのものは認められるが政治活動への協力の強制には限界がある、公務員の争議行為の一律禁止は代償措置を理由に合憲、と対にして覚えると見分けやすくなります。

ほかの選択肢はなぜ違うのか

出典:令和8年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問1(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。

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