令和7年度 午前の部 問2
憲法
政党に関する問題
政党に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 両議院の議員は、議院で行った演説、討論又は表決について院外で責任を問われないため、議員が行ったこれらの行為を理由として、その所属政党が当該議員に対して除名その他の処分をすることは許されない。
イ 政党は、憲法には直接規定されていないが、憲法の定める議会制民主主義は政党を無視しては到底その円滑な運用を期待することはできないから、憲法は政党の存在を当然に予定している。
ウ 憲法第21条第1項は、結社の自由を保障しており、政党の結成についても同項による保障の範囲に含まれる。
エ 政党がその所属党員に対してした処分について、それが一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる場合には、裁判所は、適正な手続に則って当該処分がされたか否かのみを審査してその当否を判断すべきである。
オ 政党その他の政治団体にあらかじめ候補者の氏名及び当選人となるべき順位を定めた名簿を届け出させた上、選挙人が政党その他の政治団体を選択して投票し、その得票数の多寡に応じて当該名簿の順位に従って当選人を決定する方式も、直接選挙に当たる。
(参考)
憲法
第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 (略)
- 1アウ
- 2アエ
- 3イエ
- 4イオ
- 5ウオ
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✓ これが正解2アエ
解説
アとエが誤り。免責特権は党の処分を禁じず、内部問題は審査外
政党について、憲法の条文と最高裁判所の判例に照らし、誤っている記述を選ぶ問題です。
アについて、憲法第51条は、両議院の議員は議院で行った演説、討論または表決について院外で責任を問われないと定めています。これは議員を民事・刑事などの法的責任から守るものと解されており、所属政党が党の方針に反した表決などを理由に除名などの処分をすることまで禁じるものではないとされています。アは誤りです。イについて、判例(八幡製鉄事件)は、憲法は政党について規定していないが、憲法の定める議会制民主主義は政党を無視しては到底その円滑な運用を期待できないので、憲法は政党の存在を当然に予定しているとしています。イは正しい記述です。ウについて、政党も結社の一つであり、その結成は憲法第21条第1項の結社の自由の保障に含まれると解されています。ウは正しい記述です。
エについて、判例(共産党袴田事件)は、政党が党員にした処分が一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権は及ばないとしています。適正な手続に則ってされたかを審理するのは、処分が一般市民としての権利利益を侵害する場合です。エは誤りです。オについて、判例は、拘束名簿式の比例代表制について、当選人は選挙人の投票の結果によって決定されるので、選挙人が候補者個人を直接選択して投票する方式と異ならず、直接選挙に当たるとしています。オは正しい記述です。したがって、アとエの組合せが正解です。
政党の内部処分は、内部的な問題にとどまれば審査しない、市民としての権利を侵すときは手続の適正だけを審査する、と二段で覚えておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アウ:アは院外で責任を問われないという規定を政党の内部処分にまで広げる点で誤りですが、ウは政党の結成も結社の自由として保障されるという正しい記述です。ウではなくエと組み合わせます。
- 3イエ:エは内部的な問題にとどまる処分も手続の審査をするとする点で誤りですが、イは憲法が政党の存在を当然に予定しているという八幡製鉄事件の判例どおりの記述で、正しいものです。
- 4イオ:イは八幡製鉄事件の判例どおり、オは拘束名簿式の比例代表制も直接選挙に当たるとする判例どおりで、どちらも正しい記述です。誤っている記述を一つも含みません。
- 5ウオ:ウは政党の結成も結社の自由に含まれるという記述、オは名簿式の比例代表選挙も直接選挙に当たるという記述で、どちらも正しいものです。誤っているのはアとエです。
出典:令和7年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問2(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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