令和7年度 午前の部 問4
民法
天然果実に関する問題
果実に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕以下の試験問題については、国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用は考慮しないものとして、解答してください。また、第4問から第23問までの試験問題については、商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。
ア 家賃は、法定果実に当たる。
イ 利息の計算は、法定果実と同様に、別段の意思表示がなければ、これを生ずべき債権の存続期間に応じて、日割による。
ウ 乳牛から搾取される牛乳は、天然果実には当たらない。
エ 天然果実は、その元物から分離する時に、これを収取する権利を有する者に帰属する。
オ 賃借人は、賃貸借の目的物の天然果実を収取することができない。
- 1アウ
- 2アエ
- 3イエ
- 4イオ
- 5ウオ
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✓ これが正解5ウオ
解説
ウとオが誤り。牛乳は天然果実で、賃借人も果実を収取できる
果実について、民法第88条(天然果実・法定果実の定義)と第89条(果実の帰属)で判断する問題です。
アについて、第88条第2項は、物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物を法定果実としています。家賃は建物を使用させる対価なので法定果実に当たり、アは正しい記述です。イについて、第89条第2項は、法定果実はこれを収取する権利の存続期間に応じて日割計算により取得すると定めています。利息は元本を使用させる対価で法定果実の一つにあたるため、別段の意思表示がなければ同じく日割で計算されます。イは正しい記述です。
ウについて、第88条第1項は、物の用法に従い収取する産出物を天然果実としています。乳牛から搾った牛乳は、乳牛という元物の用法に従って得られる産出物なので天然果実に当たります。ウは誤りです。エについて、第89条第1項は、天然果実はその元物から分離する時に、これを収取する権利を有する者に帰属すると定めており、エは条文どおりの正しい記述です。オについて、賃借人は賃貸借契約に基づいて目的物を使用し収益する権利を持つので、農地の作物のように目的物から生じる天然果実を収取することができます。収取できないとするオは誤りです。したがって、ウとオの組合せが正解です。
天然果実は分離の時に収取権者のもの、法定果実は日割、と帰属のルールを二つに分けて覚えておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アウ:ウは牛乳を天然果実でないとする誤りですが、アは建物を使わせる対価である家賃を法定果実とする第88条第2項どおりの正しい記述です。アではなくオと組み合わせます。
- 2アエ:アは家賃を法定果実とする記述、エは天然果実が元物から分離する時に収取権者に帰属するという第89条第1項どおりの記述で、どちらも正しいものです。
- 3イエ:イは利息も法定果実と同じく日割で計算するという記述、エは天然果実の帰属時期を定めた条文どおりの記述で、どちらも誤りではありません。誤りはウとオです。
- 4イオ:オは賃借人が天然果実を収取できないとする誤りですが、イは利息を日割で計算するという正しい記述です。イではなく、牛乳を天然果実でないとするウを選びます。
出典:令和7年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問4(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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