令和6年度 午前の部 問3
憲法
国民審査に関する問題
裁判所の組織と権能に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 最高裁判所の裁判官は、内閣の指名に基づいて、天皇が任命する。
イ 裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、罷免されない。
ウ 行政機関が裁判所の前審として裁判を行う制度は、特別裁判所の設置を禁止する憲法に違反する。
エ 最高裁判所の裁判官の任命に関する国民審査の制度は、任命行為を完成させるか否かを審査するものではなく、実質的には解職の制度である。
オ 裁判所は、政治犯罪、出版に関する犯罪又は憲法第3章で保障する国民の権利が問題となっている事件を除き、裁判官の全員一致で公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると決した場合には、対審を公開しないで行うことができる。
- 1アウ
- 2アエ
- 3イウ
- 4イオ
- 5エオ
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✓ これが正解5エオ
解説
エとオが正しい。長官以外の最高裁判事は内閣が任命する
裁判所の組織と権能について、憲法の条文と判例をそのまま当てはめる問題です。正しいものを選びます。
アは誤りです。天皇が内閣の指名に基づいて任命するのは、最高裁判所の長たる裁判官だけです(憲法第6条第2項)。長たる裁判官以外の最高裁判所の裁判官は内閣が任命します(憲法第79条第1項)。イも誤りです。憲法第78条は、裁判により心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されないと定めています。弾劾による罷免や国民審査による罷免もあるので、罷免される場合が一つだけだとする点が違います。ウも誤りです。憲法第76条第2項は、行政機関は終審として裁判を行うことができないと定めており、前審としてなら許されます。
エは正しい記述です。判例は、国民審査の制度はその実質において解職の制度であり、任命行為を完成させるか否かを審査するものではないとしています。オも正しい記述です。憲法第82条第2項は、裁判官の全員一致で公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると決した場合には対審を公開しないで行えるとし、ただし政治犯罪、出版に関する犯罪又は憲法第三章で保障する国民の権利が問題となっている事件の対審は常に公開しなければならないとしています。
したがって正しいのはエとオです。長官は天皇が任命しほかの裁判官は内閣が任命する、行政機関は前審ならよい、という二つの対比を押さえると迷いにくくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アウ:アとウの組合せで、どちらも誤りです。アは天皇が任命するのは長たる裁判官に限られる点を落としており、ウは行政機関が前審として裁判をすることまで違憲としている点が条文と違います。
- 2アエ:エは国民審査を実質的な解職の制度とみる判例どおりで正しいのですが、アは最高裁判所の裁判官全員を天皇が任命するとしており、長たる裁判官以外は内閣が任命するという定めと合いません。
- 3イウ:イとウはどちらも誤りです。イは公の弾劾などほかの罷免の場合を無視しており、ウは終審でなければ行政機関も裁判を行えることを見落としています。
- 4イオ:オは対審を非公開にできる場合と例外の事件を条文どおり述べていますが、イは裁判官の罷免を心身の故障の場合だけとする点で、公の弾劾を定める憲法第78条と食い違います。
出典:令和6年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問3(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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