第37回 問題86
高齢者福祉
日本の高齢者福祉制度の発展過程に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
- 11963年(昭和38年)の老人福祉法の制定によって,デイサービスやショートステイを含む在宅福祉サービスが法定化された。
- 21982年(昭和57年)の老人保健法の制定によって,市町村及び都道府県における老人保健福祉計画の策定義務が法定化された。
- 31997年(平成9年)の介護保険法の制定によって,介護保険の保険者は市町村及び特別区であることが法定化され,併せて広域連合や一部事務組合も保険者になることができるようになった。
- 42005年(平成17年)の「高齢者虐待防止法」の制定によって,使用者(高齢者を雇用する事業主)による虐待が高齢者虐待の定義の一つとして,法定化された。
- 52023年(令和5年)の「認知症基本法」の制定によって,国民に対して,認知症の人を不当に差別する行為を禁止することが法定化された。(注)1 「高齢者虐待防止法」とは,「高齢者虐待の防止,高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。2 「認知症基本法」とは,「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」のことである。
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✓ これが正解31997年(平成9年)の介護保険法の制定によって,介護保険の保険者は市町村及び特別区であることが法定化され,併せて広域連合や一部事務組合も保険者になることができるようになった。
解説
介護保険法で保険者は市町村及び特別区とされ、広域連合等も保険者になれます。
日本の高齢者福祉制度は、1963年の老人福祉法、1982年の老人保健法、1990年の福祉関係八法改正、1997年の介護保険法(2000年施行)と、段階を追って整えられてきました。それぞれの法律で何が新しく定められたかを、年と結び付けて押さえることが判断の軸です。
1997年に制定された介護保険法は、第3条で、市町村及び特別区は、この法律の定めるところにより、介護保険を行うものとすると定め、保険者を市町村と特別区(東京23区)としました。あわせて、規模の小さい市町村の財政の安定や事務の効率化のため、複数の市町村が広域連合や一部事務組合をつくって保険者となる形も認められています。したがって、この記述が正しいものです。
ほかの記述は、法律と制定時期の組み合わせや、法律の中身が違います。デイサービスやショートステイなどの在宅福祉サービスが老人福祉法に位置付けられたことや、老人保健福祉計画の策定が義務づけられたことは、いずれも1990年の福祉関係八法改正によるものです。見分け方は、1963年は老人福祉法の制定、1982年は老人保健法と保健事業、1990年は在宅福祉の法定化と計画の策定義務、1997年は介護保険法、と年表の形で覚えることです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 11963年(昭和38年)の老人福祉法の制…:1963年の老人福祉法の制定時に位置付けられた在宅のサービスは、老人家庭奉仕員の派遣が中心でした。デイサービスやショートステイを含む在宅福祉サービスが法定化されたのは、1990年の福祉関係八法改正です。
- 21982年(昭和57年)の老人保健法の制…:1982年の老人保健法は、老人医療費の支給や40歳以上を対象とする保健事業を定めた法律です。市町村と都道府県に老人保健福祉計画の策定を義務づけたのは、1990年の福祉関係八法改正です。
- 42005年(平成17年)の「高齢者虐待防…:高齢者虐待防止法が定める高齢者虐待は、養護者による虐待と、養介護施設従事者等による虐待の2つです。使用者による虐待を定義に含めているのは障害者虐待防止法で、高齢者虐待防止法にはありません。
- 52023年(令和5年)の「認知症基本法」…:認知症基本法は、共生社会の実現に向けた基本理念や、国・地方公共団体の責務、基本的施策などを定めた法律です。国民に対して認知症の人を差別する行為を禁止し、法的に縛る規定は置かれていません。
出典:第37回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題86。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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