第61回 午後 問27
理学療法治療学
転倒予防を目的とした理学療法で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 1転倒高リスク群ではTUG時間が短い。
- 2認知機能の低下は、転倒リスクに関連する。
- 3静的バランスから動的バランスを段階的に練習する。
- 4バランス練習は、歩行速度を上げることを最優先する。
- 5バランスに関与する感覚の評価には温痛覚が最も重要である。
答えと解説を見る
✓ これが正解2認知機能の低下は、転倒リスクに関連する。
✓ これが正解3静的バランスから動的バランスを段階的に練習する。
解説
認知機能低下は転倒リスクに関わり、バランス練習は静的から動的へ進めます。
転倒予防の理学療法では、転倒の危険因子を正しく評価し、課題の難しさを段階的に上げて練習する、という2つの考え方で判断します。
認知機能の低下は、注意を配分する力や危険を予測する力の低下を通して転倒の危険を高めるため、代表的な危険因子とされています。歩きながら話すなど2つの課題を同時に行うと歩行が乱れやすいことも知られています。また、バランス練習は、支持基底面の中で姿勢を保つ静的バランスから始め、重心を移す・歩くといった動的バランスへ段階的に進めるのが原則です。この2つが適切な記述です。
TUG(Timed Up and Go test)は椅子から立ち上がり3 m先で折り返して座るまでの時間で、転倒の危険が高い人ほど時間は長くなります。バランス練習の目的は姿勢を安定して保つ力を高めることで、歩行速度を上げることを最優先にすると、かえって転倒の危険を高めます。バランスに関わる感覚としては、足底や関節の位置を感じる体性感覚、視覚、前庭感覚が重要で、温痛覚が最も重要というわけではありません。危険因子は身体と認知の両面から、練習は易しい課題から難しい課題へ、と覚えておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1転倒高リスク群ではTUG時間が短い。:TUGは立ち上がって3 m歩き、戻って座るまでの時間です。転倒の危険が高い人は動作が遅くなるので時間は長くなり、短いという記述は逆です。
- 4バランス練習は、歩行速度を上げることを最優先する。:バランス練習は姿勢を安定して保つ力を育てることが目的です。速さを最優先にすると不安定な動きが増え、転倒の危険をかえって高めてしまいます。
- 5バランスに関与する感覚の評価には温痛覚が最も重要である。:姿勢の保持には足底や関節の位置を感じる体性感覚、視覚、前庭感覚が主に関わります。温痛覚はバランスの評価で最も重視する感覚ではありません。
出典:第61回 理学療法士国家試験 午後(厚生労働省)問27(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)