第36回 問題78
コミュニケーション技術
Gさん(70歳,女性,要介護1)は,有料老人ホームに入居していて,網膜色素変性症(retinitis pigmentosa)による夜盲がある。ある日の夕方,Gさんがうす暗い廊下を歩いているのをH介護福祉職が発見し,「Hです。大丈夫ですか」と声をかけた。Gさんは,「びっくりした。見えにくくて,わからなかった…」と暗い表情で返事をした。
このときのGさんに対するH介護福祉職の受容的な対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1「驚かせてしまいましたね。一緒に歩きましょうか」
- 2「明るいところを歩きましょう。電気をつけたほうがいいですよ」
- 3「見えにくくなってきたのですね。一緒に点字の練習を始めましょう」
- 4「白杖があるかを確認しておきます。白杖を使うようにしましょう」
- 5「暗い顔をしないでください。頑張りましょう」
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✓ これが正解1「驚かせてしまいましたね。一緒に歩きましょうか」
解説
驚かせたことを受け止め、一緒に歩くことを申し出る対応が受容的です。
決め手は、夜盲のあるGさんがうす暗い廊下で声をかけられ、びっくりした、見えにくくてわからなかった、と暗い表情で答えた場面です。夜盲は、暗いところで物が見えにくくなる症状で、網膜色素変性症でみられます。Gさんは、驚いたことに加えて、見えにくさが増していることに不安や落ち込みを感じていると考えられます。
受容的な対応とは、相手の気持ちや状態を否定したり評価したりせず、そのまま受け止めることです。驚かせてしまったことを受け止める言葉をかけ、一緒に歩くことを申し出る対応は、Gさんの驚きと不安を受け止め、そのうえで安全に移動できるよう支えるものです。この対応が受容的な対応として最も適切です。
ほかの対応は、Gさんの気持ちを受け止める前に、助言や指示をしてしまっています。明るいところを歩くよう伝えることは、Gさんに注意を求める言い方です。点字の練習や白杖の使用を勧めることは、本人の気持ちが整わないうちに先回りした提案になります。暗い顔をしないで頑張るよう伝えることは、今の気持ちを否定しています。
覚え方としては、受容的な対応を問う問では、まず相手の驚きや不安を受け止める言葉があるかを確かめ、助言や指示、励ましが先に来る記述を外す、と押さえておくと見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2「明るいところを歩きましょう。電気をつけたほうがいいですよ」:明るい場所を歩くことや照明をつけることは安全への助言ですが、Gさんの驚きや不安を受け止める前に、本人に注意を求める言い方になっています。受容的な対応とはいえません。
- 3「見えにくくなってきたのですね。一緒に点字の練習を始めましょう」:見えにくさが増していることに戸惑っているGさんに、点字の練習を持ちかけるのは先走った提案です。今の気持ちを受け止めないまま、今後の生活の変化を突きつけることになります。
- 4「白杖があるかを確認しておきます。白杖を使うようにしましょう」:白杖を使うよう求めることは、Gさんの思いを聞かずに行動を決める一方的な指示になっています。暗い表情で答えたGさんの気持ちを受け止める対応ではありません。
- 5「暗い顔をしないでください。頑張りましょう」:暗い顔をしないでと言うことは、Gさんが今感じている気持ちを否定することになります。そのうえ頑張るよう求めると、不安をさらに強めるおそれがあります。
出典:第36回 介護福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題78。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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