第36回 問題77
コミュニケーション技術
Fさん(70歳,女性)は,最近,抑うつ状態(depressive state)にあり,ベッドに寝ていることが多く,「もう死んでしまいたい」とつぶやいていた。
Fさんの発言に対する,介護福祉職の言葉かけとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1「落ちこんだらだめですよ」
- 2「とてもつらいのですね」
- 3「どうしてそんなに寝てばかりいるのですか」
- 4「食堂へおしゃべりに行きましょう」
- 5「元気を出して,頑張ってください」
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✓ これが正解2「とてもつらいのですね」
解説
まず、とてもつらいのですね、と気持ちを受け止める言葉をかけます。
決め手は、抑うつ状態にあるFさんが、ベッドに寝ていることが多く、もう死んでしまいたいとつぶやいていたことです。抑うつ状態では、気分が落ち込み、意欲がわかず、自分を責めやすくなります。このような人への言葉かけの基本は、否定や励ましをせず、本人のつらい気持ちをそのまま受け止め、寄り添うことです。
とてもつらいのですね、という言葉は、Fさんの感じているつらさを否定せず、そのまま受け止めて言葉にしたものです。わかってもらえたと感じることで、Fさんが気持ちを話しやすくなります。そのため、この言葉かけが最も適切です。なお、死にたいという言葉を聞いたときは、一人で抱え込まず、チームの職員や医療職に伝えて連携することも大切です。
ほかの言葉かけは、Fさんをさらに追い詰めるおそれがあります。落ちこんだらだめだという言葉は、今の気持ちを否定しています。どうしてそんなに寝てばかりいるのかと問う言葉は、責めているように受け取られます。食堂へおしゃべりに行こうと誘うことは、活動する意欲がわかないFさんには負担になります。元気を出して頑張るように励ますことは、頑張れない自分をさらに責めることにつながりやすくなります。
覚え方としては、抑うつ状態の人には、否定しない、責めない、励まさない、無理に誘わない、まず気持ちを受け止める、と押さえておくと見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1「落ちこんだらだめですよ」:落ち込みは、Fさん自身が望んでいるものではありません。落ち込んではいけないと伝えると、今の気持ちを否定することになり、つらさを話せなくなってしまいます。
- 3「どうしてそんなに寝てばかりいるのですか」:寝ている理由を問いただす言い方は、責められていると受け取られやすくなります。意欲がわかず起き上がれない状態にあるFさんを、さらに追い詰めるおそれがあります。
- 4「食堂へおしゃべりに行きましょう」:人の集まる場への誘いは、気力が落ちている今のFさんにとって負担が大きくなります。気持ちを受け止める前に活動を勧めても、つらさに寄り添うことにはなりません。
- 5「元気を出して,頑張ってください」:力が出ない状態の人に奮起を求めると、それに応えられない自分を責める気持ちが強まりやすくなります。善意からの声かけでも、抑うつ状態のFさんには重荷になります。
出典:第36回 介護福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題77。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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