令和5年度 午後の部 問6
民事保全法
仮処分解放金に関する問題
民事保全に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 仮差押命令は、金銭の支払を目的とする債権について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。
イ 裁判所は、保全すべき権利が金銭の支払を受けることをもってその行使の目的を達することができるものであるときは、仮処分命令において仮処分解放金の額を定めなければならない。
ウ 保全命令に関する手続については、債権者であっても、保全命令の申立てに関し口頭弁論若しくは債務者を呼び出す審尋の期日の指定があり、又は債務者に対する保全命令の送達があるまでの間は、裁判所書記官に対し、事件の記録の閲覧を請求することができない。
エ 保全命令の申立てについて、口頭弁論を経ないで決定をする場合には、理由の要旨を示せば足りる。
オ 保全命令は、債権者にも送達しなければならない。
- 1アエ
- 2アオ
- 3イウ
- 4イオ
- 5ウエ
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✓ これが正解3イウ
解説
イとウが誤り。解放金は任意、閲覧制限は債権者以外
民事保全は、民事保全法の保全命令の要件、仮処分解放金、事件の記録の閲覧、決定の理由、送達の規定で判断します。
アは正しいです。仮差押命令は、金銭の支払を目的とする債権について、強制執行をすることができなくなるおそれ又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができます。イは誤りです。仮処分解放金は、保全すべき権利が金銭の支払を受けることで目的を達することができるものであるときに限り、債権者の意見を聴いて、仮処分命令において定めることができるとされています。必ず定めなければならないわけではなく、仮差押解放金が必ず定められるのと対比される点です。ウは誤りです。期日の指定や保全命令の送達があるまで記録の閲覧が制限されるのは債権者以外の者であり、債権者はその前でも閲覧を請求できます。エは正しく、口頭弁論を経ないで決定をする場合には、理由の要旨を示せば足ります。オも正しく、保全命令は当事者に送達しなければならないので、債権者にも送達されます。
よって誤っているのはイとウです。密行性のため閲覧が制限されるのは債権者以外の者だけ、仮処分解放金は定めることができるにとどまる、と覚えておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アエ:アとエはどちらも正しい記述です。仮差押命令の必要性の要件は記述のとおりであり、口頭弁論を経ない決定では理由の要旨を示すことで足ります。
- 2アオ:アとオはともに正しい記述です。保全命令は債務者だけでなく債権者を含む当事者に送達しなければならず、仮差押命令の要件も条文のとおりです。
- 4イオ:イは誤りですが、オは正しい記述です。命令を求めた側である債権者も当事者なので、保全命令は債務者と同じく債権者のもとへも届けられることになります。
- 5ウエ:ウは誤りですが、エは正しい記述です。口頭弁論を開かずに決定で保全命令の申立てについて判断するときは、理由の全部ではなく要旨を示すことで足ります。
出典:令和5年度 司法書士試験 午後の部(法務省)問6(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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